石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

映画『バウンド』感想

バウンド [DVD]

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女二人の痛快クライム・サスペンス

女二人がマフィアから大金を奪い取る痛快クライム・サスペンス。この映画の何が面白いって、レズビアニズムが必要以上に特別視されていないことです。レズビアンだからこうなった、とか、ああなった、みたいに同性愛を何かの言い訳にせず、あくまで「いかした女二人が、女を見くびる野郎どもにいっぱい食わせる話」という路線を貫いているところが最高。

ちなみにレズビアニズム自体についても非常にリアルに描かれていて、うまいと思いました。とにかく「わかる人にだけわかるリアルさ」というのが随所に出てくる作品で、コーキーが手を洗いながらにやつくところとか、ヴァイオレットが全然ネコじゃないところとか、「お見事」と思いましたよ。レズバーのシーンなんかもうまいなあ。

主演二人の美しさについては、言わずもがな。ジーナ・ガーションの引き締まったからだも、ジェニファー・ティリーの微妙にかすれた甘ったるい声も、エロくていいです。ベッドシーンもスージー・ブライトに監修させたという本格派で、官能的かつ綺麗。ちなみにレヅの間では、ヴァイオレットよりコーキーの方が人気があるみたいです。

あと、単純なチック・ムービーじゃなく、サスペンスとしてよくできているのもいいですね。マフィア物だけあってかなり暴力的なシーンも多いのに、徹底して黒・赤・白でまとめたスタイリッシュな映像が生々しさをうまく中和していて、「単純な残虐さよりも、ひねりのきいたストーリーで観客をひきつけてやる」という意志のようなものを感じました。実際、緻密に張り巡らされた複線と二転三転するストーリーは最後まで観客を飽きさせません。シーザー役のジョー・パントリアーノのひたすらコワくてうまい演技も、話の緊迫感を大いに盛り立てていて、楽しめました。

まとめ

レズビアン物としてもクライム・サスペンスとしても一級品。未見の人は即レンタルDVD屋に走るべし。