石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『レンズのむこう』(日坂水柯、白泉社)感想

レンズのむこう (ジェッツコミックス)

レンズのむこう (ジェッツコミックス)

性愛ありのナイスなラブストーリー

「可愛い」とか「いとおしい」とかの感覚に満ちたラブストーリーが詰めこまれた短編集。「咬まれた女」「とけてゆく氷」「とけてゆく氷 説けない話」の3本にミワコさんとリカちゃんという女のコ同士のカップルが登場するんですが、どれも性愛ありの恋愛関係がきちんと描かれていて、とてもよかったです。

女のコ同士のお話について

まず嬉しかったのが、この2人がちゃんと同居までしているラブラブカップルだということ。それだけでも既に思春期限定の「なんちゃってレズ」路線とはきっちり一線を画してくれていて、好感度大です。さらに、ふたりの心や体のやりとりにも「女女カップルだから」と変に特別視するような偏見フィルタがかかってなくて、すごく丁寧に描かれている感じなのがよかったなあ。2人の可愛いところも相手を大切に想ってるところも、男女物を描くときと変わらない落ち着いたタッチで描かれていて、そこがとても楽しかったです。

ちなみにミワコさんとリカちゃんのキャラクタ自体もとても魅力的ですよ。「片方が巨乳、もう片方が貧乳」というコントラストもたまりません。あと、出会ったときには家庭教師と先生だった、なんて設定もいいですねー。

その他

実はこの短編集、最初から最後まで眼鏡っ娘ラブで貫かれた1冊でもあります。女のコ同士のカップルでは、元家庭教師の「ミワコさん」が眼鏡をかけていますし、表題作「レンズのむこう」には眼鏡っ娘だけでなく眼鏡の男子も登場します。しかも、眼鏡がただのフェチ対象ではなく、ストーリーの中で大事な役割を果たしていることが多いんですよ。そのへんもとても面白かったです。

まとめ

眼鏡っ娘ラブにあふれた漫画でありつつも、変な色眼鏡はみじんもないという素敵な1冊です。女のコ同士のカップルの「大好き」感にあふれた日常描写が見たい人は必見ですな。