石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『スズナリ!』(石見翔子、芳文社)最終回感想

まんがタイムきらら MAX (マックス) 2007年 05月号 [雑誌]

まんがタイムきらら MAX (マックス) 2007年 05月号 [雑誌]

ほっこり姉妹百合漫画『スズナリ!』が、本日発売のまんがタイムきららMAX5月号にて最終回を迎えました。すごくすごく良かったです。以下、最終回の感想です。

なんといっても、最後のあのページが!

いきなりあの1コマで「ほのぼの姉妹百合漫画」の範疇をぶっちぎりで越えちゃいましたね。しかも楓からですよ楓から! 「雑誌の方は立ち読みで済ませて、2巻が出たら新たに買おうかな」というさもしい根性が、あれ見た瞬間に吹っ飛びましたよ! そしてデレデレしながら本屋さんのレジに直行し、帰ってきてまたデレデレしながら読み返しているところです。お話のオチ自体も文句なしのハッピーエンディングで、嬉しかったです。

謎ふたつが綺麗に氷解

まず、楓と鈴(猫時代の)がなぜ別れてしまったのか不思議だったんですよ。楓のあの両親が、マンションに引っ越すからと言って猫を捨てさせるなんてありえなさそうですし。最終回を見て、ようやく謎が解けました。そうかそうか、そうだったのか。

昔から「家出していなくなってしまった猫は御嶽山で修行をしている」等々、愛猫を失った悲しみを癒すための民間伝承はいろいろあるみたいですが、『スズナリ!』はその伝承の新たなバージョンを確立し得たと思いますね。「死んでしまったあの猫が、いつか鈴みたいにネコ耳をつけた人間になって『おねいちゃーん』(あるいは『おにいちゃーん』)と言いながら突然現れるかもしれない」と思うと、そんなこと絶対ないってわかってはいても、ふっと微笑みが浮かんできてしまいますから。

もうひとつの謎は、「鈴を人間にしてくれた神様はいったい何者?」ということです。1巻p8を見ると、神様の1人称は「妾」ですよね。ということは女神様だと思うんだけど、いったいどんな女神がどういう縁で鈴に力を貸したのか謎だったんです。この謎については、5月号p62の絵で綺麗に種明かしがされていて、「参りました」と思いました。なるほど、そういう神様だったら、昔から日本全国で祀られてますもんね。養蚕の神様だったり、学業成就や子宝の神様だったりと、いろんなバリエーションがありますけど。

まとめ

そんなわけで伏線も綺麗に回収されていましたし、オチもラブくて甘くて眩しいばかりにハッピーなものでしたし、良い最終回だったと思います。これで『スズナリ!』のお話がもう読めないのかと思うと残念ですが、今はただ作者様に「こんないいもん読ませてくださってありがとうございます、2巻絶対買います」と平伏してお伝えしたい気持ちでいっぱいです。