石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『半熟短髪娘』(東雲太郎、ヒット出版社)感想

半熟短髪娘 (セラフィンコミックス)半熟短髪娘 (セラフィンコミックス)
東雲 太郎

ヒット出版社 2000-06
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高い画力が見どころ

18禁エロ漫画。計10本の短編のうち、5本が女性同士のエロありです。残る5本のうち2本がふたなりエロ、1本が姉弟エロ、2本が直接的なエロの無いお話という構成になっています。

まず目をひくのが高い画力で、ちょこっと士郎正宗氏を連想したりしました。この本にはファンタジーや中華格闘ものの作品が多くおさめられているのですが、そういったジャンルによく合った綺麗で格好良い絵柄だと思います。特に女性格闘家の体つきの描き方なんて、スタイリッシュでいいですねー。

難点は、お話の構成がいまいちなこと。たとえば「エクリプス」や「剣にすがる者」などは、話の導入部での状況説明がわかりづらい感じでした。他の作品も、ストーリーというよりは「話の断片」風なものが多く、尻切れトンボな印象が否めないのが残念です。たとえば巻頭に収録されているカラー作品「百合の褥に真珠の雫」なんて、たった4ページで終わってしまうのはもったいなさすぎると思うんですよ。最後のコマで明かされる設定も面白いし、エフェメラとミカヅキの珍道中だけで1冊ぐらいのお話になりそうなのに、そう思ったとたん「おわり」て。

エロに関しては、18禁にしてはわりとおとなしやかで、「表紙と裏表紙がいちばんエロい」とだけ申し上げておきます。中身は全体的にエロシーンの比率が低め(と言っても総ページ数の5~6割ぐらいはエロですが)な上に、エロマンガにありがちな身もふたもない下品さやエグさが少ない感じなんですよね。それが物足りなくて嫌だ、という人もいるでしょうが、あたしはかえって好印象をうけました。

まとめ

エロは薄めですが、スタイリッシュな絵柄はとても良く、戦う女性キャラクタが好きな方なら一見の価値があると思います。ただし構成がやや荒く、ストーリーが物足りないので、トータルすると5段階評価で3.5といったところ。この絵柄でもっと練りこまれたストーリーのレズビアン漫画が見られたらとても幸せだと思うのですが、そこまで望むのは贅沢というものでしょうか?