- 作者: 石田あきら,あすか正太
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2003/10/24
- メディア: コミック
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絵はいいのに内容いまいち
ボーイッシュでワイルドでどうしようもなくオタクな帰国子女ワタル(♀)と、そんなワタルに惚れている幼なじみ姫子の繰り広げるドタバタ百合コメディです。石田あきらさんの絵はいつも通りに可愛くて躍動感があり、ワタルのナイスバディなんかもかっこよく描かれていて惚れ惚れしたのですが、肝心のストーリーが今ひとつでした。総合すると、5段階評価で3ってとこでしょうか。
絵はとてもよかったです
キャラクタのかっこよさや可愛さもばっちりでしたし、ワタルや姫子の巨乳描写も綺麗でした。特撮や魔法少女などのコスチュームの数々も、非常にそれらしいデザインですごくよかったです。それでいて、
とか、これまでいわゆる巨乳ものを描いたことはほとんどありませんでした。(引用者中略)編集さんにねだってせしめた巨乳写真集を参考に表紙と口絵ピンナップが出来上がりました。
とかおっしゃっている(それぞれ「あとがき」と裏表紙カバー下より引用)あたりがすごい。プロだわー。すみません魔法少女ものなんてほとんど見たことありません
あと、全年齢向け漫画であるにもかかわらず、ロリ百合ネタやSMの女王様ネタなんかが異様に色っぽく描かれているところもよかったです。眼福眼福。
でも、ストーリーが「一部のダメオタクのための代償行為」っぽい……
女の子が泣いて嫌がってるのに無理やり脱がせたり体を触ったりする、エロい服を着せたがる、メイドロボや裸エプロンや変形する学校に執着する、周囲を巻き込んで巨大ロボごっこや魔法少女ごっこをやりたがる――など、ワタルの言動は「身勝手で、人との距離感がわからないダメなオタク」っぽいんですよ、一言で言うと。
美人で強くてかっこいいワタルというキャラがやっているからこそなんとなく見逃されてしまっている(あたし個人は不快感を感じましたが)ものの、これと同じことをもし男性キャラが(あるいはもっとブサイクな女性キャラが)やったら、「オタクキモイ」の一言で終わってしまうんじゃないんでしょうか。どうも一部のヲタ向けの、「自分が実行に移したら非難を浴びそうな欲望を、自分よりバッシングされにくいキャラに代わりにやらせることで解消する」という代償行為の匂いが漂ってきそうなストーリーで、あまり好きになれませんでした。もうちょっとなんとかならなかったんでしょうか、これ。
最終回はよかったです
前述のような理由から「絵は可愛いし面白いんだけど、ダメなオタクの自己中臭が嫌だなー」と複雑な気分で読み進めていたのですが、ハチャメチャでラブラブな最終回のおかげでいきなり評価が2割増しに。あのコスチュームデザインとダイナミックなアクション、そしてアホらしくも愛があふれる必殺技には思わず拍手を送ってしまいましたし、なんといってもあの格好のまま大真面目に甘甘ちゅーを交わしているあたりが可笑しいやら可愛いやら。
まとめ
絵の可愛らしさとオチの能天気さはとても良かったです。が、「主人公が人の意思を無視して身勝手な欲望を満たして大喜び」というパターンがやたらと多い点はかなりひっかかります。同じ石田あきら氏による百合ものなら、氏がピンで描かれている『帝立第13軍学校歩兵科異常アリ!?』(芳文社)の方がおすすめできると思います。