- 作者: みなづき忍
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/08/23
- メディア: コミック
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ほっこりできる学園4コマ。女子にモテモテな女子も登場
百合漫画と呼ぶにはやや薄口なんですが、女子にやたらとモテまくる「青伊」(あおい)という女性キャラが非常に面白かったです。その他の登場人物も皆キャラが立っていてよかったし、ギャグも全体を包むほっこりとした雰囲気もナイス。ただし、1箇所だけホモフォビックな台詞があり、そこだけがすごく残念でした。
女子にモテモテなキャラ「青伊」について
青伊はショートカットのボーイッシュ美人。女のコからのラブレターに対しては「女の私にはどうしようもないって」(p. 13)と嘆息する彼女ですが、その実
- スカートはいてても「男装の麗人」と呼ばれる(p. 7)
- 無意識のうちに女のコを篭絡する(p. 46他多数)
- 同学年の名前は、女子のみ全部自然に暗記している(p. 68)
- そもそも男子の顔や名前はほとんど眼中にない(p. 84)
- 妊婦さんまで魅了してしまう(p. 104)
- 女子の夏服の透け具合にドキドキする(p. 110)
- 当然女子のスカートごしに透ける美脚もチェック済み(p. 111)
などなど、天性のレディーキラー&女好きっぷりを発揮しまくりなところにウケました。よくある男気取りの勘違い女と違って、無意識のうちにこうなってしまうところが面白すぎです。
1箇所だけホモフォビアが表出
青伊のキャラクタ造形に関してひっかかったところがひとつだけあります。上に述べたラブレターについての彼女のこの発言(p. 14)が、あまりにも異性愛規範でがっちがちなんです。
ここに見られるのは、そもそもさ せっかく共学なのになんで女にアプローチしてくるんだってことだよね 建設的じゃないでしょー
- 女が女にアプローチするのは女子校でやることだ(男がいれば男にアプローチするのが当然)
- 女が女を好きになるのは非建設的
というコテコテの偏見です。要するに、同性愛を異性愛より下のものとみなして侮る態度なわけ。共学出身のレズビアンな自分としては、正直言ってムッとしましたよこれ。悪かったな「非建設的」で。
物語の最初あたりにこんな台詞が配置されているわりに、その後なぜか青伊のオンナノコスキーっぷりがどんどんエスカレートしていくというのは、自家撞着をきたしていると思います。もちろん、後半のホモフォビアのなさも、青伊の天然女殺しっぷりもとても楽しいのですが、だからこそ「何故最初の方であんなホモフォビックな台詞を言わせなきゃならなかったんだろう」と疑問に思わざるを得ませんでした。そこが唯一残念だったところ。
まとめ
全体としては「ほっこりできる楽しいギャグ4コマ」。百合というにはちょっと薄いけれど、女のコにモテまくりな青伊というキャラが面白いです。なぜか最初の方の1箇所だけ妙にホモフォビックな台詞がありますが、そこを通り過ぎてからの方が面白い(そして同性愛嫌悪色もない)ので、ここはひとつぐっとこらえてスルーしましょう。