石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

PCゲーム『その花びらにくちづけを あなたを好きな幸せ』(ふぐり屋)レビュー

その花びらにくちづけを あなたを好きな幸せ

その花びらにくちづけを あなたを好きな幸せ

「これからも一緒にいなきゃ許さないんだからね」

18禁百合ゲー『その花びらにくちづけを あなたと恋人つなぎ』の、麻衣と玲緒との後日譚です。玲緒の台詞を借りて言うなら、前作は要するに

「この鈍感! あんたのことが好きだって言ってんの!」

という趣旨のお話でしたが、今回は、

「これからも一緒にいなきゃ許さないんだからね」

という内容となってます。早い話が、既にカップル成立している麻衣(ややSでヘンタイ度高し)と玲緒(ツンデレ小動物)のふたりが、多少の波乱を乗り越えつついちゃ愛を深めるという物語です。異性愛への回帰を全くほのめかさないストーリーがいいし、玲緒の相変わらずのツンデレっぷりも可愛らしくてよかった。また、序盤から気前よくエロ描写をどんどん出してくるところもナイス。ただしセックス描写には今回ちょっとした特徴があり、そこで好みが分かれそうな気もします。全体としてはバランスのとれた良作。

異性愛への回帰なし

女のコ同士のカップルの、「大好きだから、ずっと一緒にいよう」という意志がはっきり伝わってくるストーリーでした。特にエンディング間際の麻衣と玲緒の会話とか、しみじみといいですよー。

玲緒の可愛らしさ

玲緒は相変わらずちびっこいのに強気で、それでいて恥ずかしがり屋で、とても可愛いです。顔真っ赤にしてつっかかったりデレたり、食べ物であっさり懐柔されたりと、彼女のめまぐるしく変わる反応はまるで野生の小動物。最後まで見てて飽きませんでした。こういう性格とわかっていて敢えてからかったり焦らしたりする麻衣とは、いいコンビですよね。

気前の良いエロ描写

開始直後にいきなりアレだったのには「い、いいんですか?」と度肝を抜かれました。それ以外でもとにかく、苦労せずともどんどんエロが出てくる親切設計になってます。個人的にはこういうの好きです。
ちなみに1〜2時間程度でクリアできるコンパクトなゲームでありながらCGは計18枚、うち回想モードで見られるHシーンは計8種計6種(※勘違いして『8種』と書いてましたがこれは誤りで、実際には6種です。ご指摘くださった方、ありがとうございました!)あります。「面倒くさいフラグ立てはいらん、それより早くラブ絵やエロ絵が見たい!」という方にはすごくおすすめ。なお、タチネコ固定ではなく、全体としては麻衣がタチ寄りリバ、玲緒がネコ寄りリバとなっています。

ただし、エロにちょっと特徴あり

今回のお話で特徴的なのは、(指の)挿入がほとんどないこと。クリトリスは触るし、舌での愛撫はたくさん登場するものの、指を体内に挿入するシーンはほぼ皆無なんです。ましてやピストンとかは絶対なし。クリトリスをおざなりにしていきなり指突っ込んでた優菜(第1作『その花びらにくちづけを』)あたりとはえらい違いです。終盤あたりに、おそらくこれは入ってるんだろうなーと思わせる台詞がちらりと出てくる箇所はありますが、インサートという行為自体が明示的に描かれることはありません。

思い切った割り切り方ではありますが、挿入&ピストン運動偏重の、いわば男性目線のエロを回避するという意味では面白い試みだなあと思います。ただ、「挿入に代わる強い刺激を」という狙いでもあるのか、やたらとバキュームの描写が多いところはやや微妙。ちょっと単調な感じがせんでもない、ような気がする。

ストーリーについて

さして大きな波乱がないのは「花びら」シリーズの伝統通りですが、今回、山場がふたつあるんですね。ひとつはパッケージ裏の「あらすじ」にもあるデートのくだり。もうひとつは、それより後にふたりが迎えるちょっとした危機。どちらもややなだらかな「山」ではありつつも、きちんとお話を盛り上げていてよかったです。特にデートのシークエンスは可愛くてよかった。お約束の試着室エロも、あのツンな玲緒が麻衣のお願いであんなことをするという意外性がスパイスとして効いていて、面白かったです。

まとめ

メインキャラは魅力的だし、ホモフォビアのなさにも拍手。序盤からエロスの大盤振る舞いで、マイルドながらも要所要所に山場が配置されたストーリーもナイス。ただし、バキューム偏重のエロ描写は、人によって好みが分かれるかもしれません。