
- 作者: 仏さんじょ
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2008/04/18
- メディア: コミック
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番長漫画と萌え漫画の幸福なマリアージュ
校則により突然番長に任命された主人公「憲太郎」が、美人でナイスバディな風紀委員「きまり」の指導のもと、さまざまな対決に挑むというドタバタコメディです。サブキャラに強烈な百合キャラがいるところが面白いし、いかにも萌え漫画っぽい要素を大量に盛り込みつつ、一方でそれらを相対視して笑い飛ばす姿勢もよかった。何よりも、萌え漫画に番長モノをドッキングさせてしまうという力技に拍手。難点をあげるならキャラの表情がいまひとつ変化に乏しいことですが、読み進めるうちにそんなことがどうでもよくなってしまうだけのパワーを持ったお話です。
強烈な百合キャラ「瑞江みずは」
特進クラスの風紀委員みずはは、きまりを「お姉様」と呼んで恋い慕っています。それだけならまだしも、
- 潜望鏡できまりのパンツをガン見(p. 40他多数)
- きまりの全裸や水着姿に鼻血噴射(p. 63他多数)
- きまりにブルマを脱がされて喜ぶ(p. 126)
- バレンタインにはお約束「私を食べて」攻撃(p. 180)
などなど、かなり己の欲望に忠実なんですねこの人。そのあたりが、性に対して奇妙に抑圧的なお姉様百合物とは一線を画しており、面白かったです。これだけ欲望ギラギラなのに、きまりの意にそまないことは決してしないあたりもマル。
萌え要素を相対視するギャグ
幼女・スク水・ブルマ・ツンデレ・妹などひととおりの萌え要素は詰め込まれているのですが、決してそれだけでは終わらないんですよこの漫画は。大マジで「萌え」を追及するんではなく、「萌え」をちゃかして遊ぶようなハンドルの遊びがあって、楽しかったです。たとえばきまりの大人っぽいナイスバディを
と称してみる(p. 117)とか、わざわざ大ゴマを使って掲載紙(いちご)の空気を読まないプロポーション
と頬染めて手渡した(p. 99)手作り弁当の中身が全部「イナゴの佃煮」、しかもその渡し方は単なる校則にすぎなかった等々、既存の「萌え」をあえて脱臼させて笑いを取りに行くところが素敵でした。勘違いしないでよねっ ちょっと作りすぎちゃっただけなんだからっ
番長モノという力技
パタリロのタマネギ部隊に匹敵するヤンキー部隊なんかも光っているのですが、いちばんすごいと思ったのは最終回の展開。無難に憲太郎ときまりをくっつけて終わりかと思いきや、全然そうじゃないんですよ。「番長」という設定をこう使うとは予想だにしていなかったので、「やられたー!」とニヤニヤしてしまいました。おまけ漫画の「厳守! きまり学園〜風雲戦国伝〜」も含めて、非常に巧みなオチのつけ方だと思います。
まとめ
コメディとしても面白いし、百合キャラ「みずは」の欲望込みの好き感情も熱くてよかったです。クライマックスで安直に恋愛至上主義に走らず、最後までギャグをぶちかまして終わるところもユニーク。おすすめ。