石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

英航空会社「ゲイだったら困るから、男性の客室乗務員は雇わない」→雇用差別で訴えられる

UKの航空会社Gama Aviationが雇用差別で訴えられたというニュース。同社の客室乗務部長のAlexandria Proudさんの訴えによると、彼女は客室乗務員の雇用にあたり、「客室乗務員は若くて、女性で、独身で、サイズ12以下でなければならない」という差別的な規則に従うよう要求されたとか。さらに、

"I was also specifically informed that if there was a male flight attendant it would be thought that he was gay and the owner would not tolerate such an individual on the aircraft."

「私はまた、男性の客室乗務員がいたらゲイだと思われるだろうし、オーナーはそんな人が飛行機に乗っていることに耐えられないとはっきり告げられました」

とのこと。ちなみにProudさんは昨年8月、ストレス疾患で休職を余儀なくされたそうです。

さて、こういったニュースを見て、「私企業がどんな人を雇用するかは自由だ」と言いたがる人も多いことと思います。そういった方は、まずこちらを読まれてはいかがでしょうか。

時間がない方のために、以下に少し引用しておきます。

個人や企業がそれぞれの考えで客観的に見れば理不尽なことをするのは、わたしは自由な社会においては基本的にアリだと思っている。だから「巨人ファンは採用しない」という方針の会社があっても、基本的にそれは構わないと思うのね。ていうか、そりゃあんまり褒められた話じゃないとは思うけど、社会的に容認できるかできないかと言えば容認できる。そうした「理不尽な扱い」に倫理的あるいは法的に何らかの制限を設けなくてはいけないとしたら、それは個々の人や企業が思い通りにふるまった結果、特定の社会集団だけに被害が集中してしまう場合。

どういうことか。例えば、仮に同性愛者を蔑視する人と異性愛者を蔑視する人が同じくらいいて、性的指向を理由とした理不尽な行為が異性愛者も同性愛者も(両性愛者も)同じくらい被害を受けているというのであれば、それはかなりイヤな社会ではあるけれど差別の問題ではない。でも現実の社会では、同性愛者の側だけが圧倒的に多くの被害を受けているわけ。それは単に「異性愛者が同性愛者を嫌悪するほどには、同性愛者は異性愛者を嫌悪していない」というだけでもなければ、「同性愛者に比べて異性愛者の方が数が多い」というだけの話でもなく、仮に両者が同数で同じくらい相手を嫌悪しあっていたとしても、いまの社会を引き継ぐ限り実害は同性愛者に集中するはず。なぜなら、異性愛者が経済においても政治においても医療においても社会の中心に居座っているから。そういう社会構造上の不均衡がある時に、各自が自由に「性的指向を理由とした不当な扱い」を実施することは容認できない。

あたしはこの考え方に同意です。法によってGama Aviationに厳正な処分がなされることを願います。