- 作者: きづきあきら,サトウナンキ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2009/01/23
- メディア: コミック
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人間の残酷さをあぶり出す鬱話
コワい漫画です。タイトルの「バーバ・ヤガー(баба-яга)」とは、ロシアの民話に登場する一種の山姥的な存在で、作品中にも何度も「山姥」の話題が登場します。しかし、この漫画の悪役は山姥ではなく、あくまで人間。4年前に子供会のキャンプで起きた失踪事件を軸に、人の心に潜む残酷さがじりじりとあぶり出されて行くという、エグくてダークな内容になっています。ちなみに女性キャラのひとりが別の女性キャラに異様に執着し、オッパイにかぶりつきながら抱きついて眠ったりしているので、その部分を「百合」ととる人もいるかも。
エグくてダークなお話です
DV男が2名、被DV女が1名。表面は優しくても中身がどす黒い男が1名。いじめっ子転じて心を病んだストーカーになってしまった女のコが1名。そして、おそらく既に死んでいる人が1名。……という顔ぶれを見るだけで、この話の重さと暗さはおわかりいただけるかと。とことん血と暴力が横溢するお話であって、鬱話に属性のない方にはつらいかもしれません。
百合……なんだろうか、これ
前述のストーカーこと犬丸ほのか(♀)が溝呂木(♀)に見せる執着ぶりがすごいです。溝呂木のゴミを漁り、新聞受けから中をのぞき(この場面はまるでホラー)、盗聴器をしかけ、
等々、行動を逐一記憶。さらに人形の首をもいで捧げるなど不気味なおまじないをしたり、時には包丁を振り回したりと、かなり危ないことになってます。十二時四十五分 昨夜の残りのスープとパンを食べて 十三時外出 行先は誉町駅前書店 十三時十三分到着
不思議なのは溝呂木がまったくそれを嫌がらずに受け入れていること。冒頭にも書きましたが、悪夢にうなされた犬丸に自分の乳を吸わせながら(パジャマ越しに、ですが)添い寝してやったりするんですよ、この人。ただし、溝呂木自身には他に好きな人(男性)がいるし、犬丸の感情も恋愛というよりトラウマからくる執着に近いので、この関係を「百合」と呼んでいいものかどうかは微妙。なんにせよふたりの間にある種の緊密な結びつきがあることは確かなので、今後も継続的に読んでいこうと思います。
まとめ
人間の中のどす黒いものや醜いものをえぐり出すサイコホラー。百合と呼ぶべきかどうかは微妙ですが、純粋に漫画として面白いです。ダークな話が好きな方はぜひどうぞ。