- 作者: 望月菓子
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2009/06/27
- メディア: コミック
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シリアスな山場を見せる完結編(ホモフォビアなし)
新米教師「黒瀬潤(くろせうるみ)」が人工知能の少女たち「アプリガール」とともに繰り広げる微百合コメディの完結編です。2巻ではシュールなエロコメを狙いつつ空振りしていた印象がありましたが、この3巻は意外にもシリアス方面の盛り上がりを見せ、感動的な結末を迎えています。今回はホモフォビックな表現もほぼなく、安心して読めました。同時収録の短編「おぼっちゃま、ご指導します!」も面白かったです。
シリアス展開について
あることがきっかけでアプリガールたちが全員消滅の危機を迎えるという筋立てになっています。そこに1巻以来の「潤の成長」というテーマが絡み、二次元のバーチャルなキャラたちに救われたことのあるヲタなら誰しもぐっと来てしまうような怒濤のストーリーが展開されます。ありがちなエロ(触手とか乳揉みとか)を無理やり入れてエロコメ仕立てにしていた1〜2巻より、こっちの方がよほど面白いと思ってしまいました。なぜ最初からこちらのノリにしなかったのかと思うんですが、ひょっとしたら、読者のニーズや掲載誌との兼ね合いなんでしょうかね。
ホモフォビアもほぼなし
ホモフォビア、というか、そもそも百合っぽい展開自体がほとんどありません。せいぜい「蘇芳(すおう)」が「百合的スキンシップ」をしたいと叫んだりブラジャーに興奮したりするぐらいで、前巻までのような実質的なセクハラ行為やホモセクシュアル・パニックは出てこないんです。それが物足りないと感じる向きもあるかもしれませんが、変に偏見ダダモレの百合的あれこれを入れられるぐらいなら、こちらの方がよっぽどいいんじゃないかとあたしは思います。
短編「おぼっちゃま、ご指導します!」について
投稿作品だそうですが、じゅうぶん面白かったです。ストーリーは「孤独からの脱出」が主題になっていて、どこか『おとして↓アプリガール』と相通じるものがあります。絵については『おとして(略)』よりむしろ繊細で好印象なぐらい。ひょっとしたら『おとして(略)』では意図的に線を減らして萌え絵寄りにしていたのかなとも思うのですが、個人的にはこちらの方が好きです。
まとめ
1〜2巻と違って強引なエロ展開もなければホモフォビアもなく、楽しく読めました。シリアス方面の盛り上がりもナイスで、同時収録の短編「おぼっちゃま、ご指導します!」にも相通じるテーマが良かったです。今さら言っても詮無いことですが、どうせなら最初からこのノリでやってくれればよかったのにと思ってしまいました。