- 作者: 石見翔子
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2009/09/26
- メディア: コミック
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面白さに死角なし。みかとはるかが特によかったです。
新聞販売店を舞台とする百合4コマの第3巻。キャラ立てがはっきりくっきりしていて、相変わらず隙のない面白さが楽しめる1冊でした。今回は特に九地院美華と西田はるかが光っていたように思います。ゆめとゆうきの相変わらずのバカップルぶりもいいし、2巻に続いてまた少し明かされる伏線も気になってたまりません。
「ソフトクリームラズベリーソースがけ」な九地院さん
「ソフトクリームラズベリーソースがけ!! トッピングはチョコチップ!!」というのは、作中でゆめが九地院美華(みかちゃん)を形容したことば。表紙を見ればわかる通り、髪の色からの連想ももちろんあると思うのですが、同時にみかの甘酸っぱい内面をもみごとに言い当てた表現だと思います。というのは、みかというのは胸がキュンキュンするような感情の揺れ具合がそりゃもうキュートなキャラだからです。柳眉を逆立てて怒っているところも、照れて真っ赤になっているところも、共に最高でした。甘ったるいだけの百合キャラに食傷気味のあなたにイチオシのキャラクタです。
「キレイなはるか」なはるかさん
今回、「エロ魔女」ことはるかの意外な側面が明かされます。それがまた、しみじみと切なくていいんですよ。完璧な間と繊細な表情が紡ぎ出すドラマに胸打たれ、一瞬これが4コマギャグ漫画ということを忘れそうになりました。2巻のレビューで、「はるかはセクハラキャラだが、たくさんいる♀♀キャラのひとりがそういうキャラだという設定なので気にならない」というようなことを書きましたが、こういうエピソードが織り込まれるのであれば、はるかがピンで変態レズビアン役を引き受けていてもまるで嫌じゃないなあ、と思いました。
いや、別に「キレイなレズビアンはいいレズビアン、エロエロレズビアンは悪いレズビアン」とかそういう意味じゃなくてね。女性が好きな女性を描くにあたって、ステレオタイプをただ流用して終わるのではなく、多面体な「人間」を描いてくれるとほっとする、という意味です。今回新たに明かされたはるかの側面は、ある意味はるかのようじょ好きの説明にすらなっていて、そのへんの人生泣き笑い劇場っぽさも好き。
ゆめとゆうきのバカップル
相変わらず性愛ありの関係であることをまるで隠さないガチっぷりが楽しかったです。それでいて可愛らしいエピソードもたっぷりだし(ゆめの前髪ネタとか、チラリズムネタとか)、ゆうきの鬼っ娘化ギャグももはや円熟の域に達しているしで、とにかく見ていて飽きないナイスバカップルでした。九地院美華がらみでさりげなく張られている伏線にも興味しんしん。
その他いろいろ
- 少しだけ絵柄が変わってきたような? 以前よりかなの顔が縦長になってきた気がします。このへんは好き好きかと。
- 銭湯ネタを振っておきながらあえて入浴シーンをひとつも描かないという潔さがかっこよかったです。
- カバー下の遊び心、大好き。
- ゴボウ最高。「かな漬け」「みか漬け」も。
まとめ
今回も非常に面白かったです。甘さだけじゃなく酸っぱさもあり、エロエロなだけじゃなく意外な過去話もあり、バカップルだけど意味深な伏線もあり、と、読者の予想をいい意味で裏切りまくるパワーを持った1冊だと思います。コメディとしても百合ものとしても等しくおすすめです。