
- 作者: カトウハルアキ
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2009/10/09
- メディア: コミック
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わりかし浅い「少年漫画ごっこ」風味(百合展開ほとんどなし)
ドタバタ学園群像劇の第5巻なんですが、なんかえっらく路線が変わっちゃってませんか、これ。女のコたちのキャッキャウフフを描くのに飽きて、凶悪そうな野郎多めの学園バトルをやりたかったのかなーとも思うんですが、だとしてもなんか新味と深みに欠ける感じ。生徒会長選挙をめぐる陰謀・ナントカ四天王・殴り合いのケンカなど、少年漫画の定番要素こそ盛りだくさんなんですが、そこにこの漫画ならではのプラスアルファが見受けられないんです。多くを突っ込まずさらりと流すのが『ヒャッコ』の特徴ではあるのですが、今回はそれが悪い方に働いて、うわべだけの「少年漫画ごっこ」で終わってしまっているのではないかと。いや人によって意見は違うでしょうけど。
逆に今回よかった点は、子々のヘンタイぶりが新しい扉を開けていたことですね。子々はこれまで「バイセクシャル」を自称しつつひたすら女子だけにセクハラしては「色情狂としてのレズビアン表象提供役」を務めていたのですけれど、今回は男子にも均等にセクハラ発言をかましており、初めて「男子にも興味あったのかこの人」と思いました。ようやく設定と行動が噛み合ってきたっぽくて、そこはとてもよかった。ただ、これはこれで「女が好きな女=セックスモンスター」というステレオタイプから、「両性愛者は男女両方に対して淫乱」という別のステレオタイプにスライドしただけでは、という批判は可能ですけれども。そのへんは、今後の子々の言動を見てから判断することになるかと。
ちなみに今回、百合っぽい展開はほとんどありません。せいぜい子々が歩巳の耳に息をふきかけている程度です。もともと特に百合を謳った作品ではないので全然OKだとは思いますが、百合目当てで『ヒャッコ』を買っている人は、そのへんご注意を。
まとめ
- バトル部分に新味なし。これまでと違うことがしたかったっぽいところは理解できるのですが。
- でも、子々のヘンタイぶりが男性にも向かっているところは新鮮でした。
- 百合っぽさはほとんどないです。今後このシリーズをレビューし続けるかどうかは目下未定。