帝立第13軍学校歩兵科異常アリ!? (4) (まんがタイムKRコミックス) (まんがタイムきららコミックス)
- 作者: 石田あきら
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2010/05/12
- メディア: コミック
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伏線未消化な最終巻
軍学校漫画の最終巻。これまでと違って4コマの部分がなく、ストーリー漫画のみの構成となっています。百合キャラのメノアに、すばらしい見せ場がありました。帝都でのクーデター事件の描き方も、迫力があってよかった。でも、前巻からの伏線は完全に投げっぱなしの上、主人公のクリスはほとんどいいとこなしで終わってしまっています。唐突すぎるエンディングにも違和感を覚えました。実のところ、この作品をどう評価したものか、これを書いている今も考えあぐねています。
メノアはすごくいいですよ
具体的にはP.27のことです。あの気迫、あの愛。3巻までのコミカルな百合ギャグ路線も魅力たっぷりでしたが、今回のあの凄味のきいた大ゴマにはかないません。この場面を見られただけで、これまでこの漫画を買い続けてきてよかったと真剣に思いました。
でも、ストーリーは投げっぱなし
伏線がまったく回収されていません。この巻で描かれるクーデター事件そのものは悪くないんですよ。筋立てこそ単純ではありますが、アクションやキャラの表情などは迫力満点でした。でも、ジークの「目的」や、3巻でトウキと皇帝が話していた「あの国」の動きとやらは、結局最後までひとつも明かされないままです。また、結末だけ唐突に感動の青春ドラマ風になってしまうという超展開にも困惑しました。打ち切りだったんでしょうか? もしいつか第2部が描かれるのであれば、読んでみたいです。
クリスは今回いいとこなし
今回のクリスは、実質的には怪我をして倒れているだけ。主人公なのに。怪力を生かした名場面が一箇所だけあるにはあるのですが、それ以外の場所では影が薄すぎるように思いました。
まとめ
とりあえずメノアが最高によかったので、自分の中では傑作と受け止めておきます。でも、純粋に漫画の最終巻として見たならば、伏線の完全放棄と無理やりな結末、そして主人公の存在感の薄さなど、粗がありすぎるのも事実。百合な愛情にのみ注目して読むならアリですが、残念ながら万人におすすめはできない内容かと。いつかどこかで続きが見られたら、とても嬉しいです。