石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『晴れのちシンデレラ(3)』(宮成楽、竹書房)感想

晴れのちシンデレラ(3) (バンブーコミックス)

晴れのちシンデレラ(3) (バンブーコミックス)

パワフルであたたかなお嬢様ギャグ4コマ

極貧時代に得た怪力と貧乏魂が抜けないお嬢様・晴(ハル)の活躍を綴るギャグ4コマ、第3巻。例によって百合ネタはややマイルドですが、琴子の「魔道に堕ち」るほどの悶々や女子校バレンタイン風景、晴の王子様っぷりなど、どれも楽しく読みました。相変わらずパワフルなギャグも、ぐっとくるあたたかさもすばらしかったです。

百合部分について

ひとことで言ってしまえば「憧れのお嬢様がモテまくる女子校百合」系のお話なのですが、味つけが独特なんですよこの漫画。バレンタインの琴子の特殊すぎる心象風景や、催眠術をかけられた晴の魅惑の王子状態など、他では読めない面白さです。なお「王子」については、女子校ものにありがちな「単なるボーイッシュ女子を男の代用品にせんがための王子扱い」を疑問視する姿勢があるところもよかった。また、晴以外の複数の女子キャラまでも、他の女子からかなり本気度の高いモテ方をしていたりするあたりも面白かったです。あくまでも微百合コメディでありつつ、時々ほんの数ミリだけガチ方面に足を踏み込むような雰囲気があり、ニヤニヤさせられてしまいました。

ギャグとあたたかさについて

今回はなんと言っても「キジムナー」ネタにとどめをさします。過去の獅子舞エピソード等と同様、晴のワイルドさとやさしさが腰が抜けそうにアホなビジュアルで展開されるというナイス展開でした。作品全体のトーンを象徴する、楽しい回だと思います。

その他

新キャラが多すぎてちょっと落ち着かないような気が。もう少しスローペースでキャラを増やしていった方が読みやすかったかも、とあたしは思いましたが、このへんは意見の分かれるところかも。

まとめ

今回もワイルドかつハートウォーミングな1冊でした。新キャラ多めでやや落ち着かない部分もありますが、ギャグも百合ネタも独特の味つけがよかったです。「百合も出てくるパワフル泣き笑い4コマ」として、大々的におすすめ。