石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『かなめも(6)』(石見翔子、芳文社)感想

かなめも (6) (まんがタイムKRコミックス)

かなめも (6) (まんがタイムKRコミックス)

あっさり軽めの最終巻

新聞少女たちが主役の百合4コマ、堂々完結。……のはずなんだけど、伏線はどこ行った。思わせぶりにみかの密偵(?)が出てきたわりにはたいした役割も負わず退場してしまうし、かなの家族問題にしてもずいぶんあっさり片付いてしまうしで、読んでてちょっと拍子抜けしました。豪快に上手投げが来るかと思ったら肩透かしだったとか、せいぜい送り出しだったとか、そんな風な印象。決まってはいるし終わってはいるんですが、あまりにもあっさり目の展開なため、「5巻に出てきたいかにも不吉そうなメタファーはいったい何だったの……?」と一種狐につままれたような気分になりました。

とりあえず個人的にイチオシのガチカプ・ユメとユーキは今回もよかったです。p. 76のユメの発言(複数)とかね、ああオトナな関係っていいわとニヤニヤしてしまいました。ただね、このカップルにしても、やっぱりお家のあれこれに関しては一切収束してないんですよね。最初から特に掘り下げる予定のない設定だったんでしょうか。

「ひょっとしたら、この先も淡々と続いていく日常を暗示するため、敢えて全体的にさらさらと流すようなまとめ方にしたのだろうか」と深読みしてみるも、真相は藪の中。何にせよ、思っていたよりずいぶん淡泊な最終巻であり、むしろカバー下で秘めやかに連載されていたおまけ漫画『ねこかな!』の方が百合百合しく盛り上がって百合百合しくオチていると感じました。本編の方が面白くないわけじゃないんだけど、ただただ予想外だったわー。

まとめ

特に大きな波乱もなく、あっさりさっぱり終わる1冊。これはちょっと意外なまとめ方でしたね。