石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『しまいずむ(2)』(吉富昭仁、芳文社)感想

しまいずむ (2) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

しまいずむ (2) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

バカと官能の奇跡のコラボレーション

互いの妹にハァハァするヘンタイ(誉め言葉)女子中学生・遥と芳子が主人公の百合コメディ第2巻。このシリーズの魅力をひとことで言うなら「バカと官能の奇跡のコラボレーション」でありましょう。新カプ登場にもぶれることなくこの路線を突き進む姿勢に、ただ拍手です。

2巻のバカ要素について

『しまいずむ』って、「恋心をおバカさがくるみこみ、そのおバカさを今や国際語ともなった"kawaii"がくるみこんでいる」という三層構造になってると思うんですよ。アーモンドチョコをつくるとき、アーモンドをカラメリゼしてからチョコをかけるとおいしいのと同じ理屈で、おバカさこそがこの漫画におけるカラメリゼになってるんだと思います。単にかわいくてラブラブなだけじゃ、ここまでリッチな味わいは出ませんって。ちなみに2巻でいちばんウケたのは、黒部ダムを使ったギャグ。特にp. 112なんて、ちゃんと中に恋心が入ってるのがわかるでしょう?

2巻の官能要素について

これはもう吉富昭仁無双としか。全年齢誌で、しかもここまで笑わせながらこのエロさって、とんでもないハイテクニックですよ。もうひとつすばらしいと思うのが、どのエロティックな行為もすべて恋心と同じ箱の中にあること。巷のダメな百合作品によくあるような、「こんな行為をしちゃいましたが偶然なんですわたしたちレズなんかじゃないんです」という見苦しい言い訳がひとつもないの。どのキスもどの絡みも、好き合っている同士がドキドキクラクラしながらいそしんでるの。そこに痺れましたね。

まとめ

カワイイわエロいわ笑えるわで、今回も心ゆくまで堪能させてもらいました。あとがきによるとこの作品は「当初はつぼみVOL1のカバーイラストのみ、ということでお引き受けしたのですが、なんとなく「中の漫画も」という流れで描き始めた」ものだとのことですが、それでこの面白さというのはすごいです。3巻も楽しみ。