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よかった、ハッピーエンドだー!!
おそらく両方バイセクシュアルであるらしい、子連れ女性「みちる」とその元カノ「摩耶」とのラブストーリー。6巻で完結。2巻までレビューしてそれきりになっていたため、本日3巻以降を一気に読みました。2巻の時点で双方に男性の影が差していたので、「この先ベタにホモフォビックなメロドラマが待ってるんじゃないか」と警戒してたんですが、蓋を開けてみればそこまでベタでもないし、ハッピーエンドだし、後日譚によるフォローもばっちりで、ほっとしました。全体を通して見れば、ホモフォビアの描き方はむしろフェアだと言える作品かと。
2巻はホントにイヤだった……
2巻を読んだ段階では、「いくらお話に山場をつくるためにしても、安直に男性キャラを持ち出しすぎ」と受け取らざるを得ませんでした。少なくとも今の日本じゃ、男女恋愛と女女恋愛は非対称ですからね。男女恋愛の方が圧倒的にゲタをはかせてもらってて、本人の資質だの愛情だのとは無関係なところでめっちゃくちゃ有利なんすから。たとえるなら、オリンピックの100メートル走になぜかオートバイで参加することを許された特権階級サマが入り込んでドヤ顔でメダルを狙ってるようなもの。「そんなアンフェアなドラマ、見たくねーわ」と思ってしまったというのが偽らざる事実。
しかし、続きを読んでみると
こうして続きをまとめて読んでみると、女女恋愛と男女恋愛のハンデ差をフェアな視線で見通す部分がきちんとあり、2巻の時点で抱いた不安は杞憂だったとわかりました。特にいいなと思ったのが、3巻で新たに登場する幼児キャラ「ひより」の生かし方。みちるの息子「ゆうた」に対するひよりの敵愾心や意地悪は、お母さんがふたりいる家の子供たちが実際に現実世界で直面しているものだけど、それが決して「自然なこと」「当たり前のこと」とはとらえられていないんですね、この漫画では。子供がそうした言動をとるのは、周りの大人がそのように吹き込むからだということが、何気ない日常描写の中にさらりと出てくる。つまり「ハンデ」が生じる原因と、それをなくすためのヒントまでさりげなく暗示されてるんです。
そういう作品だからこそ、「男とくっつくのがアナタのため、だから身を引きますヨヨヨ」みたいな古典的なお涙頂戴には結局ならないんだよね。そこに胸をなで下ろしました。あ、でも、3巻だけ単品として読むのはおすすめしません。すぐに続けて4巻以降を読まないと、ちゃぶ台ひっくり返して「もう読まない!」と叫びたくなる可能性大。そこだけ注意。
後日譚もよかった
メインカップルの恋のゆくえだけでなく、他のキャラたちのその後も丁寧に追われているところがよかったです。『オハナホロホロ』は恋愛ものであると同時に家族ものでもあり、しかも血縁や戸籍以外のところでつながった新しい家族像を描くものなので、そこがなくては完成しなかったと思うから。変則的な家族をつなぐものは愛と居場所(そのふたつはしばしば同義だったりします)だと思うんだけど、この漫画では最後までそこがしっかり追求されていると思います。「番外編2」で、意外な人(たち)の意外な後日譚が出てくるところがとくに好きです。
まとめ
いろいろと警戒していた作品でしたが、ホモフォビアの扱い方は比較的新しいし、ハッピーな結末もよかったです。特にひよりちゃんの存在に救われました。完結するまで待っててよかった!