石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

レズビアンのゲイダーは実在する(米研究)

Britney_Radar
Britney_Radar / Radar - Bbspears

米国ノースイースタン大学の研究で、同性愛者女性は異性愛者女性に比べ、ある女性がレズビアンであるかストレートであるかを直感的に見分ける能力が高いという結果が出たそうです。してみると、レズビアンにもゲイダー("gay" + "radar"のかばん語、『他者が同性愛者かどうかを感知する力』の意)はあったというわけ。

詳細は以下。

この研究をおこなったのは、同大学博士課程在籍のモリー・ルーベン(Mollie Ruben)氏ら。手法は以下の通り。

  1. レズビアン5人とヘテロ女性4人から成る「ターゲット」グループに5分間のインタビューを受けてもらい、録画する。インタビューの内容は、家族関係や将来の予定など。
    • インタビュー後、それぞれ自分がインタビューされている姿を動画で見てもらい、そのときに考えていたことや感じていたことを全部書き出してもらう。
  2. レズビアン43人とヘテロ女性67人から成る「審判」グループに上記のインタビュー動画を見せ、ターゲットたちの「セクシュアリティ」、「考えていること」、「感じていること」、「性格」に関する質問に答えてもらう。

結果として、レズビアンの審判の方が、ターゲットが同性愛者であるかどうか感知する力に長けていたのだそうです。ちなみにヘテロ女性の審判は、ターゲットの「考えていること」「感じていること」を察知するのがレズビアンより上手かったとのこと。

なぜこんなことが起こるのか。SienceDailyでは、このように書かれています。

研究者たちは、レズビアンたちは「他の女性の性的指向を判定することは、思考や感情や性格を判定することより興味深く、やる気が起こり、価値があると判断したのかもしれない」と示唆している。異性愛者の審判は性的指向にあまり関心を持っておらず、ゆえに性的指向をうまく感知できるほどにはそのことに集中しないのかもしれない、と彼らは述べている。

The researchers suggest that lesbians may have found it "more interesting, motivating, and rewarding to judge the sexual orientation of other women compared to judging their thoughts, emotions, or personality." Straight judges, they write, might not care so much about sexual orientation and thus don't focus on it enough to do a good job of detecting it.

なるほどねえ。確かにレズビアンにとっては、目の前の相手が同性愛者か異性愛者かというのは一大事ですもんね。基本的にノンケを口説くのは時間の無駄だし、別に口説かないにしても、「どこまで安心して自己開示できるか」にかかわってくるので、たとえ無意識的にでも常にゲイダーは働いていると思います。

いい例がこないだのエレン・ペイジのカミングアウト。レズビアンには「あのエレン・ペイジが、まさか!」と驚愕した人は少なく、「あらやっぱり」「服装とか雰囲気とか、お仲間っぽかったもんね」という意見が多かったと思います。ロージー・オドネルだって、『プリティ・リーグ』に出てた頃からお仲間とバレてたし、ジェーン・リンチもジリアン・マイケルズも、特に背景を知らなくても「この人、チームLでは」となんとなくわかる。そういうものなんです。もちろん正答率100パーセントとはいかないし、誤爆もありえますが、少なくともノンケ女性よりは正答率が高いはず。

反面、異性愛者女性にしてみれば、人がレズビアンだろうとヘテロ女性だろうと直接的な利害はなさそう(『害はあるわ! レズなんてアタシを襲おうと狙ってるに決まってるじゃない!!』と言いたがる人に限ってゲイダーのかけらも持ってないことを、ここで申し添えておきます)。だからヘテロ女性にとっては、性的指向の判断にリソースを割くより、相手の考えや感情を察知することに集中した方がメリットが大きいのかもしれませんね。

もちろん今回の研究は母数もあまり多くないし、これだけで「全部こうだ!」と決めつけることはできません。しかし、ゲイ男性にばかり集中しがちなゲイダー研究の中、レズビアンにも注意が向けられたというところはポイント高いんじゃないかと。今後もっといろんな研究が出てくるといいなあ。