ニューヨーク・マガジンのポップ音楽批評家ジョディー・ロウゼン(Jody Rosen)さんが、興味深い書類の写真をTwitterに上げています。80年代に米国の大学の授業で配られた、「あなたがレズビアンと出会ったら:ヘテロ女性へのヒント」と題するハンドアウトなんです。
詳細は以下。
Jody Rosen Tweets 'When You Meet a Lesbian: Hints for the Heterosexual Women'
ロウゼンさんのツイートはこちらです。
#OMG: Circa 1988 UW-Madison Women's Studies 103 Handout: "When You Meet a Lesbian: Hints for the Heterosexual Women." pic.twitter.com/ZhzE0cK4VQ
— Jody Rosen (@jodyrosen) April 7, 2014
これは1988年頃、ウィスコンシン大学マディソン校のジェンダー・スタディーの授業で配られたハンドアウトだとのこと。最初はギャグかと思ったんだけど、意外と現代でも通用する項目が多くてびっくり。ちょっとリストの中身を訳してみますよ。
- 部屋から走って逃げ出してはいけません。失礼です。
- その場を離れねばならないのなら、ゆっくり、かつ慎重にそうすること。
- 彼女があなたに惹かれていると決めつけてはいけません。
- 彼女があなたに惹かれていないと決めつけてはいけません。
- あなたが彼女に惹かれていないと決めつけてはいけません。
- あなたがレズビアンに会うことで興奮するのと同じぐらい、彼女が異性愛者に会うことで興奮すると思ってはいけません。たぶん彼女の両親は異性愛者です。
- 自分が異性愛者だと表明しようとしてただちに彼氏や夫の話を始めてはいけません。たぶん彼女はもうわかっています。
- 女の方が好きなのは性差別だと話してはいけません。また、男性も女性と同じぐらい性差別に抑圧されているとか、女性は男性が性差別と戦うのを手伝うべきだと話してはいけません。
- 彼女が男嫌いだと決めつけてはいけません。しかしながら、彼女は男性がいるであろうイベントには出席したくないと思っているかもしれません。
- どうしてレズビアンになったのかと尋ねてはいけません。どうして異性愛者になったのかと自分自身に尋ねなさい。
- 彼女の経験をベッドルームの中だけのことと決めつけて矮小化してはいけません。
- 彼女が男のように扱われたがっていると決めつけてはいけません。
- 彼女の女同士の恋愛関係が、男女の恋愛関係とは違って嫉妬や、コミュニケーション不足や、浮気との戦い等が存在しないと決めつけてはいけません。一方、彼女が不健全な恋愛関係にあると決めつけてもいけません。
- あなたと彼女が友達になれないと決めつけてはいけません。なれると決めつけてもいけません。
- 彼女の個性を尊重しなさい。彼女はレズビアンですが、メアリーやパムやローリー(などの名前を持った、ひとりの人間)でもあるのです。
これだけでもじゅうぶんおもしろいのですが、書類の末尾にある「実験:24時間レズビアンのふりをしなさい。これ(訳注:たぶんこのハンドアウトのこと)に対する印象の変化という点で、どんなことに気づきましたか」という部分がさらに興味深いです。こういう宿題を生徒にやらせた大学があったということは知ってたんですが、ウィスコンシン大学もそのひとつだったんですね。
このリストの要諦をひとことでまとめるなら「『レズビアンはこう』と決めつけるな」だと思います。そして、これは現代にもあてはまることだと思います。誰もそんなこと決めつけてないとお思いの方は、自主的に実験なさってみるといいですよ。家族や友人や職場の人たちなど、普段接する人すべてに「わたし、レズビアンなんです」と言い回って、一定期間(できれば24時間よりもう少し長く)過ごしてみてください。あ、今ならTwitterやFacebookでレズビアンと名乗ってみるという手もありますね。レズビアンがどれだけの決めつけに直面しているか、肌でわかると思うわ。
なお、ロウゼンさんによると、この紙は引っ越しのため荷造りをしていた友達が荷物の中から「発掘」したものなのだそうです。貴重な資料をとっておいてくださったご友人に感謝。