インドのヒジュラ(男性でも女性でもない第3の性の人。トランスジェンダーを名乗る人もいる)たちがCA風のコミカルな喋りでシートベルト着用を呼びかけるキャンペーン動画が大ブレイクしています。公開後わずか4日で、再生回数は既に200万以上です。
詳細は以下。
Transgender seat belt safety campaign goes viral in India | Gay Star News
動画はこちら。
動画の内容は、ヒジュラたちが街中で車を停め、CAよろしく「アテンション・プリーズ!」とアナウンスを始めるというもの。ヒジュラたちはまず、「みなさんの車には酸素マスクはついていません。座席の下の救命胴衣もありません。でもシートベルトはあるはず。どうしてつけないの?」と、リズミカルなアクションつきでユーモアたっぷりに話していきます。さらに、「そこのおてんば娘さん、彼氏にシートベルトするよう言って」「そこのセクシーな男性、あたしの動画を撮るのはやめてシートベルトして」等々、ひとりひとりに呼びかけていきます。
ヒジュラは西洋で言うところのゲイやトランスジェンダー*1とはまたちょっと違う存在で、歴史的に差別されてきた一方、特別な祝福を与える力があると信じられています。西原理恵子著『できるかなクアトロ』(扶桑社)には、ヒジュラの家に泊まり込んで取材した紀行漫画があるのですが、そこではヒジュラたちの仕事っぷりがこのように描かれていました(pp. 11-12)。
彼女らがひとたびおどりはじめたとたん神になる
すべての家から人が出てきて
女達は子宝、子孫繁栄のご利益を
もらうため いのり ひざまずく
この動画もなんとなくこれに通じるものがあるように思いました。動画の最後の方で、「シートベルトをすれば祝福してあげる」という場面なんかも、漫画のままだなあと。
ちなみにこの動画のYouTubeの説明文には、こうあります。
わたしたちは、無謀運転をする人たちに、安全のための非常に基本的な手順を思い出させたかったのです。
いささか忘れがたい方法で、です。
We wanted to remind reckless motorists about a very basic safety procedure they'd forgotten.
In rather unforgettable fashion.
確かにこれは忘れがたいわ。これでドライバーがシートベルトするようになって、事故時に死なずに済むのなら、これ以上の「祝福」はないんじゃないでしょうか。
*1:便宜上このエントリのカテゴリは「トランスジェンダー」にしましたが、すべてのヒジュラがトランスジェンダーのアイデンティティーを持つわけではありません。