石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

ゲイ男性に膣の絵を描いてもらった。こうなった。

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ゲイ男性に描いてもらった膣*1の絵を集めてフルカラー本にしようというプロジェクトが注目を浴びています。既に相当たくさんの作品が集まってるんですが、笑えるものからアーティスティックなもの、不気味なものまでバラエティー豊かでおもしろいです。

詳細は以下。

This Is What Happens When You Ask A Bunch Of Gay Men To Draw Vaginas

このプロジェクトを手がけているのは、ライターのシャノン・オマリー(Shannon O’Malley)さんという女性と、その友達でゲイ男性のビジュアルアーティスト、キース・ウィルソン(Keith Wilson)さん。

まずは、ふたりがゲイ男性たちに膣の絵を描いてほしいと頼んで集めた作品を、プロジェクトのInstagramアカウントからいくつか引用してみましょうか。手始めに、コミカルなものから。

クッキーモンスター。

ユニコーン?

ネタに逃げたパターン。

続いて、アーティスティックなもの。

バレリーナ。

くだもの。

男体化。

最後に不気味系のもの。

女性について何か含むところがおありのようで。

噛み切られるんでしょうか。

いったいどんな恐ろしい場所だと思われているのか。

このプロジェクトは、3年前オマリーさんがディナーの席でウィルソンさんに描いてもらった膣の絵をきっかけに始まったものなのだそうです。その時ウィルソンさんが描いたのは、こんな絵(『ゲイ男性にとって膣とは……自然のルービックキューブ』)。

これがあまりに面白く、会話も盛り上がったので、ふたりはその後さらにたくさんのゲイ男性による膣の絵を集めることに。サンフランシスコのゲイビーチやカストロストリートにブースを出してたくさんの人に協力をあおぎ、最終的に『Gay Men Draw Vaginas』(『ゲイ男性、膣を描く』)というタイトルの全220ページのフルカラー本として出版するプロジェクトとなったのだそうです。オフセット印刷のハードカバーで、最低1000部は刷る予定だとのこと。

おふたりによる説明はこちらです。

動画の中に出てくる、オマリーさんとウィルソンさんがこれまでに作ったケーキのレシピ本『Apocalypse Cakes: Recipes for the End』(内容は、『ゲイのウエディングケーキ』や『核の冬アイスクリームケーキ』、『血の雨のレッド・ベルベット・ケーキ』などパンチのきいたレシピばかり)は、日本のAmazonでも買えます。

Apocalypse Cakes: Recipes for the End

Apocalypse Cakes: Recipes for the End

『Gay Men Draw Vaginas』の、Kickstarterでのファンドレイジングは8月末まで。目標額3万7千ドルのところ、8月8日現在で既に3万8千ドルを超えています。25ドルの出資で電子版の本がもらえ、37ドルでハードカバー版がもらえ、55ドル以上で本に名前が載るそうです。我こそと思わん方は、今のうちに出資を。

しかしこれ、面白い企画だよねー。「女体(の、特に性器)とは何か」と「ゲイ男性とは何か」という概念が同時に揺すぶられる、挑発的でユニークな本になりそう。ひとつ思ったのが、「異性愛者男性に同じことを頼んだら、果たしてできあがってくる絵に違いはあるのか」ということです。案外、女性への不安や敵意がにじみ出るタイプの絵に関しては、ゲイ男性とそんなに変わらなかったりして。ただ、ゲイと違って「ぼくのペニスが使用するための場所」という目的化というか道具化が顕著な作品も出てくるかもしれませんね。頼んでもいないのにちんこの絵を描き添えたりして。しかしそれじゃただのよくある便所の落書きだし、本にしても誰も買わなさそう。やはり、あくまでも『Gay Men Draw Vaginas』であるところがこのプロジェクトのポイントなんだと思います。

*1:原文が"vagina"となっているので「膣」と訳してます。元記事のコメント欄でも「これは膣("vagina")ではなく外陰部("vulva")の絵だ」というツッコミが入ってますが、 KickstarterのFAQでは、ゲイ男性に「"vagina"の絵を描いてね」と言って集まったのがこれだったのだから、絵の内容に合わせて本のタイトル(『Gay Men Draw Vaginas』)を改変する気はないと説明されています。