2015年4月30日、文部科学省が性同一性障害などの児童生徒への対応充実を求める通知を全国の学校に出しました。文科省はこの通知で具体的な支援策を例示し、サポートチームの設置なども推奨して、診断の有無だけによらない柔軟な対応を求めています。
詳細は以下。
時事ドットコム:変更後の性別・名前で卒業証明も=性同一性障害生徒への配慮通知-文科省
以下、上記リンク先より引用します。
文部科学省は30日、心と体の性が一致しない「性同一性障害」(GID)を抱える児童生徒が学校生活で支障を感じないよう、服装や施設利用に関する配慮や相談体制の充実を求める通知を全国の学校に出した。就職先などに提出する卒業証明書に、卒業後に変更した性別や名前を記すなどの配慮をするとしたほか、同性愛などを含めた性的少数者(LGBT)の子供全般への対応充実を要請した。
とても重要な一歩だと思います。子供たちが不登校や退学や、ましてや自死に追い込まれるのはもうたくさんですからね。
ハフィントンポスト日本版によると、性同一性障害以外の児童・生徒への対応を国として学校に求めたのはこれが初なんだそうです。ただし、文科省のWebサイトで実際にこの通知に目を通してみたところ、
- そもそも通知のタイトルが「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」(※強調は引用者によります)である
- 内容もほぼトランスジェンダー関係のことばかり
- それ以外の性的マイノリティについては、教職員が「悩みや不安を受け止め」たり、「心ない言動を慎」んだりするようにというばくぜんとした記述が少量あるだけ
などの点から、これを「同性愛などを含めた性的少数者(LGBT)の子供全般への対応充実」(時事ドットコム)や、「性的マイノリティの子供への配慮」(ハフポスト)を求めたものとまで報じるのは、報道の勇み足というやつではないかと感じました。ここから先は今後の課題だと受け止めておいた方がいいのでは。
なお、4月30日夜の時点で、現職高校教員である友人にこの通知について聞いてみたところ、「管理職には何か通達があったかもしれないが、ヒラには今のところ何もなし」とのことでした。現場にこの通知の内容がいつごろ浸透して、具体的に何がどう変わっていくのか、気になるところです。知識不足の教員によって、非シスヘテロの子供たちがなんでもかんでも性同一障害と混同されたりしなきゃいいんだけど。取り越し苦労ならいいんですけどね。
2015年5月4日追記
前述の高校教員の友人から、5月3日にさらに情報が。「管理職に聞いてみたんだけど、例の記事、愛知県はまだ管理職(各学校)にも届いてないって。通達を届けるかどうかは県が決めるらしいわ」とのことです。ということは、保守的な県の場合、結局現場の教員までは何も伝わらないってこともあるかもね。文科省の今回の通知は、それによって学校が自動的に変わっていくことを期待するより、児童・生徒やその保護者が「文科省がこう言っているのだから対処を」と学校にかけあうための言質だと思っておいた方がいいのかもしれません。