アートと演劇が好きな9歳男児が、今年のハロウィーンに自ら選んでクルエラ・デ・ビルに扮しました。SNSで公開された写真は、驚くほどの完成度。彼の仮装に文句をつける「偏見持ち」たちに、この子の父親がすばらしい反論を見せています。
詳細は以下。
Read A Dad's Incredible Response To A "Small-Minded" Bigot's Comment|The Gaily Grind
この男の子の名前は「リアム」(Liam)とだけ公開されています。まずは彼がクルエラ・デ・ビルに変身する過程をごらんください。
Proud Dad Defends Son’s Halloween Costume After “Small-Minded” Bigot’s Comment https://t.co/7vxDtQgqLS pic.twitter.com/8hYxFHvFu2
— TheGailyGrind (@thegailygrind) 2015, 11月 2
元記事ではもっと大きな写真が見られるので、よろしければそちらもぜひどうぞ。完成形のクルエラの写真なんて、美人だしちゃんとヴィランになってるしで、あたしがグレン・クローズだったら嬉しくて電話をかけたくなっちゃうレベルです。
リアムくんはこれまで毎年ハロウィーンの衣装を自分でデザインしていて、過去にはクレオパトラやブラック・スワン、メデューサなどの仮装をしてきたとのこと。女装や女性の真似が好きというより、エキセントリックな衣装やそれを作る工程が好きなようだと、父親のウィル(Will)さんは話しています。
しかしながら、男児が女性キャラに扮することをよく思わない人というのはいるもので、SNSではこのクルエラ・デ・ビル姿のリアムくんの写真にこんなコメントをつける人も。
まったく不適切であると言わざるを得ないし、親が子供にこんなことをするなんて信じられません! あなたやあなたの友達が気を悪くしたらすみませんが、こんなことは間違っていると思います!!!!
I must say completely inappropriate, and I can't believe a parent would ever do that to their child! Sorry if I offend you or your friends but I think it's wrong!!!!
どうも、親の意向でリアムくんが女装させられていると頭から決めつけているらしいんですね。これに対してウィルさんがつけたリプライはこちら。
うちでは毎日のようにこの手の狭量な人に対応しています。誰にでも自分の意見を述べる権利があります。わたしはこれからもずっと、喜んで、そして堂々と、我が子の創造性を支援し励まし続けるつもりです。
We deal with this type of small minded person on a daily basis. Everyone is entitled to their opinion. I will always support and encourage my kids creativity happily and without apology.
ここで「毎日のように」というのには理由があって、ウィルさん宅はゲイ・ファミリーなんです。つまりリアムくんにはふたりのパパがいるわけ。学校や友達は別にこのことを問題視していないのですが、保護者の中にはこの家族を色眼鏡で見て、親が子供を「誘導している」と言う人もいるのだそう。以下、ウィルさんの意見です。
「男の子にとってもっとも無難な衣装は、ふつう血や、残酷シーンや、殺人者と関係があるようです」とウィルは言った。「あの人たちは、それがこれ(クルエラ・デ・ビル)より好ましいと思ってるんでしょうか? 人は人、自分は自分と言いたいです。リアムは9歳なんですよ。もっとたくさんの子供たちが、恐れることなく自分の興味を追求することを許されるべきだと思います」
“The most acceptable costumes for boys seem to usually have something to do with blood, gore, and killers,” said Will. “They find that more acceptable? I say live and let live. He’s 9. More kids should be allowed to explore their interests without fear.”
おっしゃる通り。読んでて思ったのですが、これって以前紹介したこちらの件にも通じるものがあるのでは。
子供を殺人事件やゴアなどの表現に触れさせても平気な一方で、キスだのディズニー映画の悪役だのは不可だというのはおかしいよねえ。クルエラなんて、結局誰も(犬も)殺してないのに。ひょっとしたら、批判者の頭の中ではジェンダー・ステレオタイプを揺るがすのは殺人以上の大罪だということになっているのかもしれませんが、だからと言って他人の行動の自由を制限していいということにはなりません。ハロウィーンに男の子が女装しようと女の子が男装しようと、それをやめさせる権利なんて誰にもありません。
ジェンダー・ステレオタイプと言えば、オーストラリアの研究では、子供がいる同性カップルの家庭では異性カップルの家庭よりジェンダー・ステレオタイプの押し付けが少なく、それが家族のつながりや健康状態にプラスの効果をもたらしていると考えられると報告されていましたっけ。リアムくんの例を見て、この押しつけの少なさが、実は子供の創造性にもよい影響をもたらしているのかもしれないと感じました。彼のような子供たちが今後ものびのびと好きなことに取り組み、個性や才能を伸ばしていってくれるといいなと思います。