トロント大学の研究者らが、被験者にゲイ男性の写真を見せ、その男性が性行為で挿入する側(タチ)かされる側(ネコ)のどちらであるかを当ててもらったところ、偶然よりも有意に高い精度で正解を出すことができたとする論文を発表しています。
詳細は以下。
STUDY: You Can Tell A Top From A Bottom Just By Looking At Him | NewNowNext
これは2013年の論文なのですが、上記リンク先の記事で初めて知りました。論文のタイトルは"Accurate Identification of a Preference for Insertive Versus Receptive Intercourse from Static Facial Cues of Gay Men"といい、著者はKonstantin O. Tskhay氏とNicholas O. Rule氏で、Archives of Sexual Behaviorの2013年10月号(Vol.42, Issue 7)に発表されています。アブストラクトは以下からどうぞ。
この研究ではまず、女性や異性愛者も含めた23人の実験参加者に、ゲイ向け出会いサイトから集めたゲイ男性200人の写真(内訳は、タチを名乗る人が100人、ネコを名乗る人が100人)を見てもらい、タチネコのどちらかに分けてもらったとのこと。結果として、単なる当て推量よりも高い精度で分類できていたことがわかったのだそうです。
Tskhay氏らはさらに、タチだと判断されて実際にそうであった男性の場合、外見の男らしさが、つまり鼻の大きさや眉の太さなどが判断の手がかりになっていたことを発見。これらの結果から、同性同士の性的役割は異性同士の関係によく似たステレオタイプの枠組みで知覚されている可能性があり、ひょっとしたら同性同士の関係そのものがそのようなステレオタイプに似た構造を持っているのかもしれないと、この論文は示唆しています。
おもしろい研究ではありますが、あたしの実感とはなんだか違うような。「見かけはぜんぜんマスキュリンではないけれども、ベッドの中では超バリタチ」みたいなゲイ男性の知人、フツーにいますし。レズビアンでもやっぱり、見た目だけでは分からないものですし(余談だけど『レズビアンとセックスしてみようと思い立った異性愛者女性が、“この人は髪が短いからタチ”とかなんとか勝手に思い込んで股広げて寝転がってマグロを決め込むの図』とか、もう目も当てられない大惨事だから、みんな気をつけような!)。
この論文を紹介しているNewNowNextの以下の記述が、何よりも正鵠を射ていると思います。
RuleとTskhayは、アナルセックスに興味のないゲイ男性はもちろん、リバ(訳注:能動も受動もいけるという意味です)のゲイ男性たちが数において優勢であることも無視している。
Rule and Tskhay ignore the preponderance of versatile gay men, as well as those who aren’t that interested in anal sex.
そうなんですよね。だいたいセックスを「挿入する/される」の固定役割でとらえること自体がきわめてヘテロ的なので、その枠組みに沿って人を分類すれば、必然的にヘテロっぽいステレオタイプが観察されるということなんじゃないでしょうか、これ。上記の実験と条件を揃えて、かつ「リバ」「アナルに興味なし」と名乗っているゲイ男性の写真をそれぞれ100枚ずつ混ぜても偶然以上の確率でタチネコが見分けられるものなのか、だれか実験してみない?