ドラマ『ティーン・ウルフ』や『テスパレートな妻たち』で知られる米俳優チャーリー・カーヴァー(Charlie Carver)が、同性愛者であることを公表しました。
詳細は以下。
‘Teen Wolf’ star Charlie Carver comes out – LGBTQ Nation
チャーリー・カーヴァーは日本時間で2016年1月12日、Instagramにこんな写真をアップロードし、それに添えたキャプションでカミングアウトしています。
写真のフォトフレームの中のことばを訳すと、「自分が若かった(幼かった)とき、いてほしかった人になれ」。ここから始まる一連の投稿(続きはこちら:Part 2, 3, 4, 5)で、チャーリー・カーヴァーはまず小さい頃から自分がゲイだとうすうす気づいて絶望や疎外感にさいなまれていたこと、12歳のとき自分で自分に「ぼくはゲイだ」と言ってみて自己嫌悪に陥ったことなどを説明していきます。
他の人に向かってこのことばが言えるまでには数年かかるだろうと思った。その一方で、ぼくは今度は自分の家族に向かって同じ単語を口に出せるぐらい気楽で、自信が持てるようになるまで、そのフレーズを何度も何度も口の中で転がしていた……。
It would take me a few years before I could repeat them to anyone else, in the meantime turning the phrase over and over in my mouth until I felt comfortable and sure enough to let the words pour out again, this time to my family...
幸いカーヴァー家の人たちは、とても受容的だったとのことです。それでもやはりカミングアウトというのは楽しいものではなく、セクシュアリティーが問題とされない世界、知らない人にいちいちカミングアウトする必要がない世界があると思いたかったと彼は書いています。
「カミングアウト」ということばすら嫌でした。(引用者中略)セクシュアリティーで自分を定義されたくありませんでした。確かにぼくは誇り高きゲイ男性ですが、ぼくのアイデンティティーはゲイ男性でも、「ゲイの」男でも、単なるゲイでもないんです。ぼくの自己認識は一通りではなく、さまざまな同一視とアイデンティティーが平等なスペースを占有して、「自分」という常に流動的な感覚を形成しているのです。
Even the words “Coming Out” bothered me.[...]I did not want to be defined by my sexuality. Sure, I am a proud gay man, but I don’t identify as a Gay man, or a GAY man, or just gay. I identify as a lot of things, these various identifications and identities taking up equal space and making up an ever-fluid sense of Self.
それでもなお公的にカミングアウトする理由について、彼はこう書いています。
自分が幼かった頃、そのように(自分はゲイだと)言ってくれる人が―それも、いやな奴にはならずにそう言ってくれる人がハリウッドに必要でした。何よりも自分に対して、自分がもっと若かった頃必要としていた人になる義務があるのです。
As a young man, I needed a young man in Hollywood to say that- and without being a dick about it, I owe it to myself, more than anything, to be who I needed when I was younger.
元ポストは非常に長いためここで全文紹介するのは不可能なのですが、知的で、誠実で、そして熱のこもった、とてもよく考え抜かれたカミングアウトの文章だと感じました。「同性愛者はなぜ『わざわざ』カミングアウトするんだ」と疑問に思っている非同性愛者や、「カミングアウトする人がいるとゲイが余計に注目されて暮らしにくくなるから迷惑、だから全員隠れてろ」と言いたがるクロゼット・ゲイの方々には特にご参考になるかもしれません。あたしとしては、いち同性愛者として自分自身が常日頃思っていることとかぶることが多くて、うんうんとうなずきながら読ませていただきました。ハリウッドでこういう若手の役者さんがオープンリー・ゲイとして活躍するということは、ゲイの子どもたちにとってとても大切なことだと自分は思っています。