米国の憎悪扇動集団ウエストボロ・バプティスト教会が、LGBTテーマを持つ絵本の朗読イベントに抗議に出向くとして脅しをかけました。が、地元の人々が力を合わせてカウンター抗議を繰り広げ、当日は脅しどころか愛と支援の1日になったとのこと。
詳細は以下。
The Day Love Won: Westboro vs. LGBT Children's Book Event | Advocate.com
この絵本、Square Zair Pair(直訳すると『四角いゼアのペア』)はLGBTニュースサイトAdvocateの編集者ジェイス・ピープルズ(Jase Peeples) 氏が2016年1月に出版したもので、架空の国「ハナマンドゥー」に住む「ゼア」という生き物たちを主人公に、違いを受け入れることの大切さをわかりやすく描いています。
冒頭部分の、朗読つきの動画はこちら。
ゼアにはジェンダーがなく、ただ四角っぽい形のものと丸っこい形のものがいるだけです。ゼアは四角と丸がペアになって暮らすのがならわしで、ペアになるとお互いのしっぽがくっつき、いかなるときも一緒にいるようになります。ところがある日、初めて四角同士でしっぽがくっついたペアができたからさあ大変。他のゼアから疎まれた2匹は村を離れ、山で木の実を食べて暮らすのですが、やがて自分たちには他のペアにはできないことがあるとわかるのでした……というのが、この本のあらすじです。
米国カンザス州に本拠地を置くアンチゲイ団体、ウエストボロ・バプティスト教会は、この絵本の内容がお気に召さなかったようです。サンフランシスコの書店で2月に予定されていた朗読会に関して、彼らはこんなことをTwitterでつぶやいていました。
Joy! We’ll have an audience when we teach @JasePeeples to not lie to kids >> https://t.co/IB6D1yhWMe via @HoodlineSF pic.twitter.com/q2zYBr08vd
— Westboro Baptist (@WBCSaysRepent) 2016年2月3日
訳:「よかった! われわれがジェイス・ピープルズに『子供に嘘をつくな』と教えるとき、観客がいるわけだ」。
つまり、イベント当日に押しかけて行って抗議するぞという脅しなわけです。この教会はこれまでありとあらゆる場所(LGBTとは何の関係もない場所でさえ)でピケを張ってはホモフォビックな主張を繰り広げてきたことで有名なので、これはまったくシャレになりません。
そこで朗読会への協力を申し出たのが、地元サンフランシスコの人たち。めいめいカウンター抗議用のプラカードを持って集まり、イベント当日、書店の前はこんなことになりました。
"#LoveWins: #Westboro vs. #LGBT Children's Book Event" https://t.co/s9M0dyFMbh #ReadAcrossAmerica pic.twitter.com/u26XrJIlVB
— The Advocate (@TheAdvocateMag) 2016年3月3日
ウエストボロ・バプティスト教会のメンバーは、結局現れなかったとのこと。
LGBTテーマを持つ絵本や児童書は最近増えてきていますから、今後もこのようなことは何度も起こるでしょうね。そのたびに根気よくカウンター抗議をぶつけていくしかないと思います。親や周囲からアンチLGBTなことを言われ続けている子供たちがSNSなどでこういう写真を見て、「味方になってくれる人もいる」と気づくだけでも、やる意味はじゅうぶんにあると思うんです。
Square Zair Pair (English Edition)
- 作者: Jase Peeples
- 発売日: 2016/01/12
- メディア: Kindle版
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