石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

シカゴの小学校、フロリダ州銃乱射事件のLGBTクラブに見立てたお化け屋敷を中止

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シカゴの小学校が、2016年10月末に同校で予定されていた「クリスチャンの」お化け屋敷企画を中止しました。そのお化け屋敷ではフロリダ州のLGBTナイトクラブでの銃乱射事件が再現される予定で、広告には「地獄への旅」などと書かれていたとのこと。

詳細は以下。

Chicago public school cancels ‘Christian’ haunted house depicting Orlando LGBT mass shooting


まずはそのお化け屋敷のチラシの画像をどうぞ。

Windy City Timesによれば、このイベントはシカゴのファーンウッド小学校(Fernwood Elementary School)での「クリスチャンの相互交流体験」として宣伝されており、制作を担当したTyrone Tappler Productionsという会社は、Facebookに以下のようなことを書いてボランティアを募集していたとのこと。

クラブ「パルス」、ダンサー、被害者……檻に閉じ込められた人々/悲鳴を上げる人々、檻から逃げようとする人のエキストラ求む! 面白そうだと思う? 今週土曜日に来てください!!!

: "Club Pulse, Dancers, Victims … CAGED PEOPLE/SCREAMERS, Extras needed trying to escape a cage! … SOUNDS INTERESTING? COME OUT THIS SATURDAY!!!"

約50人もの人々が射殺された事件の再演が「面白そう」? あの事件での悲鳴だの、犠牲者が逃げようとする様子だのを面白がれるってのは、完全に加害者サイドの発想だと思うんですが。しかも、実際の事件現場には存在しなかったはずの「檻に閉じ込められた人々」まで用意するなんて、LGBTクラブの客を完全に「撃たれるのを待つだけの哀れな犠牲者」として描写する気まんまんよね。あれだけの事件をここまでおもちゃにしてはしゃげるとは、たいした神経だわ。

ちなみにこのイベント、ネットで告知されるのみならず、路上でも宣伝チラシが配布されてたんだそうです。レストランの前でこのチラシを受け取ったという男性は、文面に「パルス」の名を見つけて仰天し、なぜあんな事件を描写できるんだと思ったと話しているとのこと。なおWindy City Timesのもとには10月28日、同小学校が所属する学校区「シカゴ・パブリック・スクールズ(Chicago Public Schools)」のスポークスマン、マイケル・パスマン(Michael Passma)氏から、このお化け屋敷企画は中止になったと知らせるメールが届いたんだそうです。文面はこんな。

「そのイベントの主催者は、イベントの真の内容について誤った描写をしました。当学校区は、この主催者の宣伝した活動とのいかなる提携も是認しておりません」とパスマンは述べた。「そのイベントがシカゴ・パブリック・スクールの所有地で開催されることはありません」

"The event organizers mischaracterized the true content of the event, and we did not approve any association with the activities the organizers have now advertised," said Passman. "The event will not be held on CPS property."

とりあえず事前に食い止められたのは何よりですが、こんな企画を思いつく人がいて、それを通す人がいて、チラシ印刷だのボランティア募集だののプロセスを経てもなお開催ぎりぎりの段階まで誰も止め(られ)なかったという事実はどんなお化け屋敷よりも怖いと思います。この小学校にだってLGBTキッズはいるだろうに、よりによって自分たちの学校で、LGBTナイトクラブは恐怖に満ちた「地獄への道」で、そういうところに行く人は殺されるのだという筋立てのイベントを開催されるだなんて、たまったもんじゃないでしょう。近年米国でクリスチャンの数が大幅に減っていることの一因は、この手の愚行にもあるんじゃないの?