Huluが、2017年4月26日に米国で配信開始予定のドラマシリーズ『侍女の物語』のトレイラーを公開しました。マーガレット・アトウッドのディストピアSF小説をもとにした全10話の作品で、レズビアンのキャラをサミラ・ワイリーが演じています。
動画は以下。
この話、「サミラ・ワイリーが出るなら予習しておかねば」と先日文庫で原作を読んだんですよ。感想も書こうと思ってました。でも、間が悪いことに、読了したのが日本時間で2016年11月8日でしてね。「この小説の世界ってものすごいディストピアだけど、ある種の日本男児にとってはこれこそ理想の社会なのでは」などと陰鬱なことを考えながら一晩寝て起きたら、米大統領選でトランプが勝ってしまいまして。「アメリカ人にとってもこれが理想だったのか!?」と衝撃を受け、感想どころではないまま今日まで来てしまったんでした。
いちおう原作のあらすじを簡単に書いておくと、これは環境汚染と出生率の低下に悩む「ギレアデ共和国」を舞台とする近未来小説。ギレアデでは国家の窮地を救うためとして「伝統的価値」への回帰が強調され、男性優位のカルト的宗教のもと、女性は名前も財産も教育を受ける権利も奪われています。妊娠可能な子宮を持った女性には、男性司令官の子供を産むための道具(『侍女』)としての奴隷のような生活が強いられており、逆らえば拷問や死が待っているのみです。主人公オブフレッドはその侍女のひとりで、厳しい監視の中、なんとか脱走して生き別れの娘に会おうと苦闘します。サミラ・ワイリーが演じるのは主人公の旧友、モイラ。モイラはタフでしたたかなレズビアンで、言うならばこの作品の裏の主人公です。
このかっこいいレズビアン役をサミラが演じるのはうれしいし、見てみたくないと言えば嘘になるんですけど。なにぶん話が暗くて過酷な上に、現実世界でも女の股間をわしづかみする人が権力者になって、女性のリプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツを後退させる法律が議会で可決され始めていることを思うと、ドラマにも正直あんまり食指が動きません。サメが泳いでいる海に落っこちたときに、わざわざ防水スマホで『ジョーズ』を見ようとするようなもんでしょ、それって。
ただ、原作小説はオチがユニーク(100パーセントのハッピーエンドでもなければ100パーセントのバッドエンドでもない、SFらしいひねりをつけた終わり方なんです)なので、あの部分をどう料理したかによってドラマ全体の印象もかなり変わってくるのではないかとも思います。とりあえず配信が始まってから、信頼できるレビュワーさんの評が一通り出そろったあたりで、観るかどうか決めようと思ってます。
追記(2017年9月19日)
本ドラマは第69回(2017年)エミー賞で8冠に輝きました。詳しくは以下を。
Hulu Japanのツイートによれば、日本での配信は2018年からのようです。
【情報解禁】大激戦を制し、第69回 #エミー賞 で栄冠を手にした「The Handmaid’s Tale」(原題)を、2018年にHuluで独占配信決定!作品賞だけでなく、主演女優賞、監督賞など8部門を制覇し、圧倒的な評価を受けました! #Emmys #侍女の物語 pic.twitter.com/pSda575NoR
— Hulu Japan (@hulu_japan) 2017年9月18日

- 作者: マーガレットアトウッド,Margaret Atwood,斎藤英治
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/10/24
- メディア: 文庫
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