石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

レズビアンの結婚式で両親が出席拒否。上司がウエディングアイルを歩く役目を買って出る

Lesbian Bridal Cake Topper 5 High by Naturalstar

2016年11月、台湾でジェニファーさんとサムさんという女性同士のカップルが結婚式を挙げました。両親から式への出席を拒否されたジェニファーさんのため、彼女の上司が父親代わりとしてウエディングアイルを歩き、大いに話題になっています。

詳細は以下。

This Lesbian's Boss Walked Her Down The Aisle After Her Dad Refused To | The Huffington Post

動画はこちら。(英語字幕あり)

ジェニファーさんとサムさんは付き合って11年になるカップル。台湾ではまだ同性婚は法制化されておらず、この結婚式は「人々を力づけ、異なるコミュニティ間のリスペクトを作り出す」ことを目的とした象徴的なものだとのことです。

ジェニファーさんの勤務先は台湾HSBC銀行で、カミングアウトする前は「人にからかわれるのでは」「顧客が離れていくのでは」という不安もあったそうです。ところが実際にはとてもサポーティブなお客さんもいた上に、上司や同僚も応援してくれたとのこと。残る問題は、ジェニファーさんの同性愛を快く思っていないご両親。特にお父さんの方がサムさんに対してひどく敵対的で、ジェニファーさんはお父さんのために男性との偽装結婚まで考えたこともあったとのこと。結局ご両親はジェニファーさんとの連絡を絶ち切ってしまっていて、サムさんとの結婚式への出席も拒否したのだそうです。

そんなジェニファーさんの手を取ってウエディングアイルを歩く役を買って出た人がいました。台湾HSBC銀行のCEO、John Li氏です。当日、式場に入場する場面で、ふたりは「ここまでやれるとは思っていなかった」と泣いてしまったとのこと。

HSBCは英国ではLGBT団体ストーンウォールの選ぶトップ100雇用者にランクインしており、欧州でも2015年の欧州多様性賞(European Diversity Awards)で年間最優秀多様性チーム賞(Diversity Team of the Year)を受賞しているメガバンク。香港でも昨年「プライドを祝え、団結を祝え」(『慶祝驕傲、慶祝團結』、"Celebrate Pride, Celebrate Unity")キャンペーンの一環として香港本部前のライオン像をレインボーカラーにして、大いに話題を呼びました。そりゃあ台湾でもCEOみずからウエディングアイル歩くよね。ちなみに上記の動画も、HSBC台湾が今年のバレンタインデーにアップロードしたものだとのことです。

こうした動きを企業イメージのためのプロパガンダや、単なる人材確保のための多様性支持だとして斜に構えて見る向きもあるのでしょうが、だとしても性的マイノリティであることを理由に職場でハラスメントを受けたり退職強要されたりするような企業風土(日本の例海外の例)より一億倍いいですよ。個人的には結婚式での「父親が花婿に娘を渡す」という形式の儀式は「ザ・家父長制」めいていてあまり好きになれないのですが、最近ではここでの文言をもっと平等なものにするやりかたもいろいろ提案されているようですし、何より結婚する本人たちが喜んでいるのならそれが一番だと思います。ジェニファーさんもサムさんもおめでとうございます、お幸せに。