石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

ニール・パトリック・ハリス、ジェームズ・ウッズの差別的ツイートに正面から反論

Neil Patrick Harris: Choose Your Own Autobiography

ジェンダー規範通りではない服装などを好む子を持つ家族が、プライド・イベントに参加。米俳優ジェームズ・ウッズ(James Woods)がこの一家の写真にTwitterで差別的なコメントをつけ、同じく米俳優のニール・パトリック・パリス(Neil Patrick Harris)から手厳しく反論されています。

詳細は以下。

Neil Patrick Harris Slams James Woods' Tweet About 'Gender Creative' Child | Women's Health

まず、問題のジェームズ・ウッズのツイートはこちらです。

このツイートに貼られている写真は、ブロガーのローリー・デュロン(Lori Duron)さんとその家族が、米カリフォルニア州オレンジ・カウンティの2017年のプライド・パレードに参加したときのもの。写真の中で、ローリーさんと夫のマットさんはそれぞれ「わたしはジェンダー・クリエイティブな息子を愛しています!("I love my gender creative son!")」、「わたしの息子はドレスを着て化粧をするんです……納得してください!("My son wears dresses & makeup… Get over it!! ")」と書いたプラカードを掲げています。そして、ふたりの真ん中で、息子のC.Jくんがレインボーフラッグを持って笑っています。ちなみに、これはC.Jくんにとって人生初のプライド・パレードだったのだそうです。

これに対し、ジェームズ・ウッズは上記ツイートでこんな風にコメントしています。

ステキだね。この哀れな子が成長するまで待てば、彼はあんたらが何をしたかに気づき、あんたら二人が何を切り取ってガレージの冷凍庫に入れたのかがわかるだろうさ

This is sweet. Wait until this poor kid grows up, realizes what you've done, and stuffs both of you dismembered into a freezer in the garage

つまりウッズは、C.Jくんのジェンダー表現を男性器の有無と直結させ、親がこの「哀れな」子を去勢したとほのめかして嘲笑したというわけ。この人、確か「世界で最も頭のいい10人」に選ばれてた人だと思うんですが、それにしてはずいぶん非科学的なご意見だと言わざるを得ません。

さて、上記ツイートに対し、オープンリー・ゲイの米俳優ニール・パトリック・ハリスがつけたレスがこちら。

訳すとこんなです。

まったく無知で下品ですよ、ウッズさん。わたしはこの一家の友だちです。あなたは何もわかっていません、そして、恥を知るべきです。

Utterly ignorant and classless, Mr. Woods. I'm friends with this family. You know not of what you speak, and should be ashamed of yourself.

なおローリーさんによると、パレード当日C.Jくんはこれまでの人生で一度も経験したことがなかったほどたくさんの誉め言葉や笑顔やハグをもらっていたとのこと。C.Jくん本人も、彼を見かけた人たちが続々と「いつでも本当の自分でいてね」「きみは最高だよ」などと言ってきて、一緒にすごくたくさん写真を撮ったのだと笑顔で話しているのだそうです。家に帰る時間になってもC.Jくんは帰りたがらず、自分だけ残って後からタクシーで帰ると言い出す(この意見はご両親によって却下されたそうですが)ほどパレードを楽しんでいたとか。この日の夜、お父さんに寝かしつけられるとき、彼はこんなことを言ったそうです。

「人生でいちばんいい日のひとつだった。連れてってくれて本当にありがとう」

“That was one of the best days of my life. Thank you so much for taking me,”

というわけで、必ずしもすべての人がジェームズ・ウッズみたいなひどい反応をするわけではないんですよね。しかし、その一方でウッズのように他人の性のありように土足で踏み込んで嘲笑しようとする人がいるからこそ、マイノリティにはまだまだプライド・パレードが必要なのだとも言えると思います。なお、ウッズの発言に異を唱えた著名人はNPHだけではなく、ちょっと探すだけでこんなのがざくざく見つかりました。

米国の俳優、アンディ・ミルダー(Andy Milder)「あなたはいつ自分の人間性を切断してガレージの冷凍庫に詰め込んだんですか?」。

カナダのコメディアン、イアン・ブースビー(Ian Boothby)「昔は同性愛者について同じことが言われていた。おかげでたくさんの人が死んだ。同じことを繰り返させるな」。

米国の放送作家、ニコラス・ファラッチ(Nicolas Falacci)「こういう憎悪に満ちたコメントが、それから無知が、自己嫌悪の炎を燃え上がらせることになるんだ。子供は受容と自由があってこそよく育つんだよ」。

子供には、股間の形状だけを理由としてクッキーみたいに型抜きされた生き方を押し付けるのではなく、こういう意見の方を見せたいものだと思います。

おまけ。パレード当日、女の子の親友ふたりと一緒に歩いているC.Jくん(真ん中)の写真。ローリーさんのキャプションにある通り、これこそ未来だよ。