同性婚への賛否を問う郵送調査が始まったオーストラリアで、反同性婚派が「異性愛者の命も大事」("straight lives matter")なる集会を開催。しかし参加者はわずか30人で、この集会への抗議者や警察官の方が数が多かったとのこと。
詳細は以下。
この郵送調査はオーストラリア統計局が同国の選挙人名簿登録者を対象に実施しているもので、政府はこの調査の結果が出てからでなければ同性婚法案を起草しないと述べています。回答用紙の返送期間は2017年9月12日から11月7日で、目下アンチ同性婚派がCMやポスター、看板などで大々的に「ノーと答えましょう」キャンペーンを展開しているところ。
そんな中、2017年9月23日に、同性婚に反対するための「異性愛者の命も大事」("straight lives matter")なる集会がシドニーで開催されました。この「異性愛者の命も大事」("straight lives matter")というスローガンは、言うまでもなく米国の人種差別反対運動の「黒人の命も大事」("black lives matter")というスローガンをもじったもの。同性婚を法制化したところで異性愛者の命が危険にさらされるなどということはないはずなのですが、この集会の主催者「パーティー・フォー・フリーダム」(Party For Freedom)の意見では、ゲイの権利運動は子供たちにとって危険なのだそうです。同団体のWebサイトには、以下のような主張があるとのこと。
「同性愛者の権利運動は、ライフスタイルの実験が子供たちにもたらしうる危険を無視した上での、哀れみを基盤にしているのです」
“The gay rights movement is based on compassion ignoring the dangers the lifestyle experiment may pose to children.”
どうやら、ゲイやレズビアンの子供たちが強制異性愛のためにいじめや自殺などのリスクにさらされているという事実は、都合よく無視されているようです。しかしながら彼らのこうした考えは絶大な支持を集めているとは言えないようで、この集会は実質、閑古鳥が鳴いていた状態だった模様。以下、当日の様子をご覧ください。
There appears to be more police than people at the "straight lives matter" rally in Sydney pic.twitter.com/2McIHClBRY
— Riley Stuart (@RileyStuart1) 2017年9月23日
Straight Lives Matter rally in #Sydney sees only about 10 people turn up, outnumbered by counter-protestors & media #SSM #MarriageEquality pic.twitter.com/SlsR5YwMN5
— Serkan Ozturk (@SerkanTheWriter) 2017年9月23日
Photo of the Straight Lives Matter rally in Sydney.
— Thomas John Jaspers (@thomasjohn86) 2017年9月23日
AHHHHHHHAHAHAHAHAHAHQHAHAHAAA
I've been to amateur improv shows with a bigger audience. pic.twitter.com/BmTiYzuunA
同集会への参加者数は、PinkNewsとGay Star Newsでは30人、豪ABCニュースでは20人と報告されています。ちなみに、この集会に抗議するために集まった人々の数は50人、警官が60人だったとのこと。蛇足ながら、同じシドニーで同性婚法制化を求めるデモが9月10日に開催されたときには、約3万人もの人が行進に参加しています。比較画像をTwitterに上げてる人を見つけました。
sydney marriage equality rally vs straight lives matter rally Lmao pic.twitter.com/22x23in5WI
— lena 🏁 (@colorstripped) 2017年9月24日
逆じゃなくて本当によかった。
思うに、この「異性愛者の命も大事」("straight lives matter")集会って、「異性愛者のプライド・パレード」と同種のものなのでは。というのは、毎年毎年6月のプライド月間に「LGBTのプライド・イベントがあるのに異性愛者のそれがないのは不公平」と言い出す異性愛者が必ず現れる一方で、では本当にそうしたイベントに需要があるかというと、これがそうでもないらしいからです。実際、2015年に米シアトルで開催された「ヘテロセクシュアル・プライド・パレード」に参加したのは主催者1人だけでした。社会全体から1年365日推奨され祝福されているセクシュアリティを、わざわざ年に一回特別な日を設けて「誇る」必要があると考える人は少なかったと見えます。このアンチ同性婚集会も似たようなもので、いくら主催者が黒人運動のスローガンを横取りしてまで危機感を煽ろうとしたところで、実際には同性婚で異性愛者の命が危機にさらされるわけではないため、参加の必要性を感じた人は少なかったということなのでは。このところ英語圏のニュースでは豪州のアンチ同性婚派のひどい発言ばっかり見かけてしまってやや凹んでいたんですが、これ見てちょっと元気出ました。まだ希望を捨てたらいかん。