石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

プライド・イベントの日の朝、バイセクシュアル女性におばあちゃんがしてくれたこと

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米国ワシントンDCのプライド・イベントに参加した両性愛者女性レキシー(Lexie)さんが、彼女のおばあちゃんが当日の朝にしてくれたことをTwitterで報告し、大きな反響を呼んでいます。

詳細は以下。

There was an outpouring of love after this bisexual girl’s grandma went viral / LGBTQ Nation

レキシーさんのツイートはこちら。

訳:

今朝、DCプライドの準備をしようと起きました。おばあちゃんがわたしの部屋に入ってきて、わたしのバイの旗を見て、こう言いました。「おやまあ、これにはアイロンをかけなくちゃ!」。とてもシンプルなことだけど、わたしにとってはすごく大きな愛と意味のあることでした。

I got up this morning to get ready for #DCPride. My grandma walked into my room, looked at my bi flag, and said, “Oh, this needs to be pressed out!” Such a simple gesture, but it holds so much love and meaning for me.

レキシーさんは以前、おばあちゃんにそれまでと違った目で見られるのが恐くて、彼女にカミングアウトするのをためらっていたのだそうです。ところが実際にカミングアウトしてみると、おばあちゃんは「オーケー、いいよ」と言うだけで何ひとつ態度を変えず、ずっとレキシーさんを支えてくれているとのこと。上記ツイートは日本時間で2018年6月22日現在24万以上の「いいね!」を集め、たくさんの性的少数者たちがリプライをつけています。中には「ぼくのわたしのおばあちゃん自慢も聞いて」みたいなツイートもいくつかあって、家族で唯一自分のセクシュアリティを受け入れてくれたのがおばあちゃんだったとか、おじいちゃんにカミングアウトしたら性自認通りの服を買ってくれたとかいうほのぼのエピソードが披露されており、世の中まだそんなに捨てたもんじゃないという気がしてきます。

こうした反響を受け、レキシーさんが「世界におばあちゃんがどんなに美しいか見てほしい」と追加でupした写真がこちら。すばらしい。

個人的にこのニュースを読みながら思い出していたのは、6月16日にEテレで放映されたETV特集「Love 1948-2018 ~多様な性をめぐる戦後史~」というドキュメンタリー番組のことでした。番組の中でカルーセル麻紀さんが「自分は家族にはいないものとして扱われ、15歳で家出した」という話をし、当時そんな人はいっぱいいて、みんな故郷に帰れず、戸籍からも外されて最後は無縁仏だったと説明されてたんですが、カルーセル麻紀さんよりずっと後の世代でも、同じように家族に完全拒否されて15やそこらで孤立無援のサバイバルに追い込まれた性的少数者は少なからずいます。交友範囲がさほど広くないあたしの知り合いにですら、複数人いるぐらい。家族の中にひとりでも受け入れてくれる人がいるだけで、当事者の生きづらさは天と地ほども違ってくると思うし、その意味でレキシーさんのおばあちゃんや、リプライで報告されてるステキなおじいちゃんおばあちゃんのような人の存在はとても大切だと思いました。アライは大事。家族で、かつアライな人は、なおさら大事。