イタリア在住のゲイ・ファーザー、レズビアン・マザー、そして子供のいる異性愛者カップルを比較した研究で、同性カップルの子は異性愛者カップルの子より心理的な問題が少ないとする結果が得られたそうです。
詳細は以下。
Same-sex couples make perfectly good parents, study indicates · PinkNews
この研究はイタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学と米国テキサス大学の研究者らによるもので、Journal of Developmental and Behavioral Pediatrics(May 16, 2018)で発表されました。アブストラクトは以下を。
同研究では、イタリア在住で3歳から11歳の子供がいる75人のゲイ・ファーザー、125人のレズビアン・マザー、195人の異性愛者ペアレンツに対し、オンラインで自記式質問が実施されました。なお、この調査に参加したゲイ・ファーザーはすべて代理出産で子供を持った人たちで、レズビアン・マザーは人工授精で母となった人たちです。異性愛者ペアレンツは、配偶者間の自然受胎(spontaneous conception)で子をもうけた人たち。この調査により、以下のようなことがわかったそうです。
- ゲイ・ファーザーとレズビアン・マザーの子供たちは、ヘテロセクシュアルの親を持つ子供たちより心理的問題(psychological problems)が少なかった
- 家族の形態が何であろうと、女の子は男の子より社会性が高かった
- ゲイ・ファーザーは、異性愛者ペアレンツよりも、自己効力感やパートナーとの関係への満足度が高かった
- ゲイ・ファーザーは、レズビアン・マザーや異性愛者ペアレンツより、自分の家族の団結や柔軟性について高く評価していた
研究者らは、同性カップルの子供たちは心理的適応の面でも向社会的行動の面でも順調に育っているとし、この研究は為政者が性的指向を理由にある種の人々が親になる適性が低いと決めつけて不妊治療を制限することに対して警鐘を鳴らすものであると述べています。
同性カップルの子育てに関しては、既にいろいろ先行研究が出ています。詳しくは以下を。
- 同性カップルの育児に関する研究計77本を調査→「子に有害」説はわずか4本、しかも全部が欠陥研究(米調査) - 石壁に百合の花咲く
- 同性カップルは異性カップルより子供のために費やす時間が長い(米研究) - 石壁に百合の花咲く
- 同性カップルの子どもたちはより健康でより幸福(豪研究) - 石壁に百合の花咲く
- 同性愛者は異性愛者より子育てのモチベーションが高く、献身的(米研究)- みやきち日記
- レズビアンカップルの子供は、ヘテロカップルの子供より問題行動が少ない(米研究) - みやきち日記
- 同性カップルの養子と異性カップルの養子では、情緒的発達に有意の差はない(米研究) - みやきち日記
- 同性カップルも異性カップルと変わりなく子育てをしている(カナダ研究) - みやきち日記
今回の結果も、先行研究とあまり変わらないものだったと言えそうです。日本だとまだまだ、同性愛者が子供を持つことすら想像できない人が多そうですが、日本同様少子化に悩むスペインでは先日、レズビアンや独身女性にも無料で不妊治療を提供するようにすると発表されたばかり。もうそろそろ、異性愛者の既婚カップルだけが親になれるとか、親としてふさわしいはずだという根拠なき思い込みとは決別すべき時なんじゃないですかねー。