カナダでイスラム教徒に嫌がらせなどをしていた極右団体"Wolves of Odin"のWebドメインが、ゲイなケモエロサイトになりました。仕掛け人の男性は、この団体の名前(直訳すると『オーディンの狼』)からこの措置を思いついたとのこと。
詳細は以下。
この極右グループ"Wolves of Odin"は、2019年1月下旬にエドモントンのモスクに入り込み、そこに来ていたイスラム教徒をカナダ人ではないと決めつけたことで一躍悪名を馳せたところです。ちなみに決めつけられた人の意見はこちら。
「わたしはカナダのオンタリオ州トロントのヨーク・フィンチ総合病院で生まれていて、父はニューファンドランド出身で、母はジャマイカ出身の、オプラ・ウィンフリーをもっとかわいくしたバージョンだよ」
“I was born at York Finch General Hospital, in Toronto, Ontario Canada. My father’s from Newfoundland and my mother’s from Jamaica, she’s like a prettier version of Oprah Winfrey.”
おそらくこの団体、グループ名にわざわざ「オーディン」という語を入れるところからして典型的な白人至上主義者で(白人至上主義者は自分たちのルーツは北欧にあると信じています)、肌の色だけを見て人を判断しているのでは。
さて、このグループ名の「オーディン」ではなく「狼」の部分に目を付けたのが、エドモントンの男性ブレイディ・グランペット(Brady Grumpelt)さん。彼は同グループのメンバーらしき人たちがバーで「脅迫行為をしでかそうとしている」のを見かけた後、"Wolves of Odin"という名のカナダの(.ca)ドメインが空いていることを発見し、購入してゲイ用出会いサイト風のケモイラストサイトにしてしまったのだそうです。イラストの一部は、以下のツイートで見ることができます。
Far-right group Wolves of Odin now has a furrier, kinkier web presence. https://t.co/OlQYLvaWf0
— VICE Canada (@vicecanada) 2019年1月31日
グランペットさんの作ったサイトのトップページでは、まず、トランクス一枚でセクシーな姿をとるゲイの狼たちのイラストを見ることができます。下の方には「このドメインはHATEFREEYEGに1万ドル寄付すれば購入可能」と書かれていて、そこをクリックするとHATEFREEYEGのクラウドファンディングのページに移動します。HATEFREEYEGはエドモントンをヘイトのない街にするための活動をしている団体で、このクラウドファンドで集まったお金は街中の差別的な落書きを消したり、インクルーシブなイベントを支援したりするために使うとのこと。
この狼イラストのサイトができたのは2019年1月30日のことで、日本時間で2月3日現在、クラウドファンディング(目標額1000ドル)にはすでに135ドルのお金が寄せられています。考えたもんだなあ。とは言え、同性愛者やfurryのコミュニティを「(たとえ極右にでも)嫌悪感を催させるもの」として扱うのは諸刃の剣だし、昨今ではゲイのレイシストも増えているから、このやり方が100点満点の正解でもないとも思いますけど。資金集めがひと段落ついたらこのサイトは閉じて、また何か別の戦略を考えるというのがベストなんじゃないかなあ。