イングランド北東部の都市ハルに住むレズビアンカップルのもとに、匿名の差出人から嫌がらせの手紙が届きました。手紙の主は、彼女らが生後18か月の娘を育てているのは「不道徳で間違った」ことであるとし、別地区に引っ越すよう求めているとのこと。
詳細は以下。
このカップル、ヴィッキーとステファニー・パーキー(Vikki and Stephanie Parkey)さんが手紙を受け取ったのは2019年2月22日のこと。文面はこんなだったそうです。
「我々住民一同は、この地域に同性カップルが住んでいることを不満に思っています。そのカップルが子供を育てているときは、特に不満です。不道徳で、間違ったことだからです」
「シティーのもっとふさわしい地域に引っ越すことを勧めます」
“We, the residents, are not happy with same-sex couples living in our area. Especially not when bringing up a child. It is immoral and wrong. “We suggest you move to a more appropriate area of the City.”
なんだよ「ふさわしい地域」って。ゲイはゲイ・ゲットーに閉じこもってろとでも言うのかよ。60年代かよ。
なおヴィッキーさんとステファニーさんは6年間この地区に住んでおり、隣近所の人たちはこれまでずっと彼女らの人工授精や妊娠を支援してくれていたのだそうです。ヴィッキーさんはこの手紙がポストに入っているのを見つけてすぐハンバーサイド警察に通報したとのこと。ちなみにHull Liveによると、彼女らの隣人のひとりであるハーヴェイ・リンカン(Harvey Lincoln)氏は、手紙の差出人の価値観を「時代遅れ」、「恐竜」などとし、「このような意見の人たちはこの界隈で歓迎されない」と話しているとの由。
ルイ=ジョルジュ・タンの『〈同性愛嫌悪(ホモフォビア)〉を知る事典 』に詳しいけど、ホモフォビアを正当化したい人たちって、
- 同性愛を生殖不能と同視して「社会にとって有害」と糾弾
- (実際には生殖不能ではない)同性愛者が子を持とうとすると、今度は生殖医療や養子縁組制度から同性カップルを締め出そうとする
- それでも同性カップルが子を持つと、今度は同性カップルの子育て自体が悪だと言い出す
……という風にゴールポストをずらしていくものなんですよね。上記の手紙の主は、ちょうど3のステージにいるのだと思います。日本でも(遅ればせながら)同性婚を求める一斉提訴がなされたりしている昨今、今後1から2へ、そして3へとロジックをすり替えながら同性愛者を叩く人が続出するんじゃないかと思うわ。こういう先行事例をよく見て、続報にも注意して、とるべき対応策を学んでおかねばと思います。
- 作者: ルイ=ジョルジュ・タン,金城克哉,齋藤笑美子,山本規雄
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2013/08/08
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る