石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

15歳ゲイ少年、ドレスで自分のキンセアニョス祝う

f:id:miyakichi:20190510204827j:plain

ラテンアメリカには女の子の15歳の誕生日を盛大なパーティーで祝う、「キンセアニョス(quince años)」という習慣があります。メキシコのある少年がこの伝統行事のステレオタイプを打ち破り、話題になっています。

www.soyhomosensual.com

キンセアニョスは国によってキンセアニェーラ(quince añera)、キンセス(quinces)などとも呼ばれる伝統的な祝賀です。パーティーでは主役の娘がおとぎ話のお姫様のようなドレスを着て、まず父親とダンスし、次に他の家族、「チャンベラン(chambelan、日本語にすると『侍従』)」と呼ばれる正装した少年たち、そして友人たちと踊るということになっています。もっとも最近ではもっと現代的にアレンジして、「チャンベランはなしで、男女問わず友達みんなを招待して祝う」というスタイルのパーティーにしたりもするそうですけど。ただ、主役が娘だということはどこの国でも変わってません。

そのステレオタイプを打ち破ったのが、メキシコの15歳のゲイ男性、オスバルド・アトレアーガ(Osvaldo Arteaga)さん。まず写真と動画をごらんください。

念のために言っておきますが、オスバルドさんは上記の映像の中でドレスを着ている人ですよ。紺色のスーツを着ている方ではなく。つまり彼は、自分の15歳の誕生日に、キンセアニェーラ(15歳の女性)ならぬキンセアニェーロ(15歳の男性)としてドレス姿でパーティーの主役になったんです。

オスバルドさんは子供の頃、お姉さんがキンセアニョスのお祝いをしてもらうのを見て、自分も15歳になったら同じことをしたいと考えたのだそうです。ちなみに彼には小さいうちから同性愛者の自覚があり、お母さんやきょうだいもそんな彼の支えになってくれているとのこと。それでもこの計画を実行するにはさまざまな苦労(たとえば、彼がパーティーの準備をしていると知った同級生に笑いものにされるなど)があったのだそうですが、すべてを乗り越えて2019年4月27日、彼はついに夢をかなえました。ちなみにチャンベランは親友がやってくれたんだそうです。

キンセアニョスはもともとは「うちの娘が大人になって、結婚市場で入手できるようになりました」というお披露目の意味合いを持つイベントだったと言われています。現代の観点からするとずいぶん異性愛中心的だし、女性蔑視だという批判もあります。ラテン系の文化は今ではもっと多様になっており、キンセアニョスも単なる通過儀礼ととらえて現代風のパーティーにする人が増えているそうですが、こうやって男の子を主役にすることでイベントに再解釈を施すというのもまたいい試みなんじゃないかと思いました。

以下、上記動画のキャプションでオスバルドさんが書いていることの和訳です。

4月27日に夢を実現させました。そのことをシェアしたいと思います。

そして示したいのです、本当に望んだことはやれるのだということを。
そして、人は本当に幸せになれるのだということを。
そして、結局他人の言うことよりも自分の幸せの方が大切なのだということを。

この動画で変化が起こせるよう願っています。

El 27 de abril cumplí un sueño y ahora quiero compartirlo con ustedes.

Y demostrarles que se puede cuando uno en verdad quiere.
y demostrar que uno en verdad puede ser feliz
Y que más allá de lo que digan los demás al final lo que importa es tu felicidad

Espero hacer un cambio con esto

頼もしい15歳だねえ。オスバルドさんは『ル・ポールのドラァグ・レース』のファンで、将来はドラァグをやりたいんだそうですが、その夢もぜひかなえてほしいですね。