米国イリノイ州で、トランスジェンダー女性の受刑者が刑務所内で性的暴行を受けたとして訴訟を起こしました。同州でのこのような訴訟は、この1年間だけでもこれで3回目です。
今回被害を訴えたテイ・テイ(Tay Tay)さんは、女性のアイデンティティーを持つ人。彼女は過去10年の間、複数の刑務所で男性房に収容され、ミスジェンダリング(本人のアイデンティティーとは食い違うジェンダーの人物として扱われること)や虐待に晒されてきたとのこと。2018年6月に以下のようなことが起こったと、彼女は主張しています。
- 同室の受刑者がテイ・テイさんをレイプした
- 加害者はシャツをドアにかけて、外から中が見えないようにしていた
- レイプの最中、看守がドアを開けた
- 加害者はトイレに飛び乗って何も起こっていないふりをした
- 看守はテイ・テイさんが裸で怯えて床の上にいるのに気付いたが、シャツをドアから外せと言っただけで、そのまま去って行ってしまった
- テイ・テイさんは翌朝自殺のおそれがあるとして監視下に置かれたが、その後また加害者と同じ房に戻された
- テイ・テイさんは苦情を申し立てたが調査はされず、苦情をやめなければ独房に監禁すると刑務所職員に言われた
つまりは刑務所側は、テイ・テイさんが自殺リスクのあるようなひどいことをされたという認識は一応あるのに、そのリスクから彼女を保護するための措置をとらず、事件そのものをもみ消したってことですね。
今週の未紹介LGBTニュース(2018年12月30日) - 石壁に百合の花咲くでも書きましたが、イリノイ州では2018年12月に同様の訴訟の判決が出たばかり。以下、過去記事から引用します。
Trans prisoner moved to female prison after year-long court battle
米国で男性用の刑務所に収容され、数年にわたって性的・肉体的暴力を受けてきたトランス女性の受刑者が、1年間の法廷闘争を経て女性用刑務所に移送されました。
このディオン・”ストロベリー”・ハンプトン”(Deon ‘Strawberry’ Hampton)受刑者は侵入窃盗の罪で懲役10年に処せられ、この4年間、全部で4か所の男性用刑務所に収容されていました。申し立てによると、彼女は他の受刑者と刑務所職員の両方から性的・肉体な虐待を受け、性奴隷のような扱いをされてきたとのこと。ある刑務官からは、虐待について口に出したらおまえは「消える」ことになるぞと脅されたりもしたそうです。
裁判の結果、ハンプトン受刑者はシカゴの160マイル南西にある女性刑務所、ローガン刑務所に移されました。判決ではまた、イリノイ州のすべての刑務官がトランスに関する追加教育を11月に受けることが義務付けられたとのこと。
そしてNewNowNextによると、2019年2月には、ジャナイア・モンロー(Janiah Monroe)さんというまた別のトランス女性の受刑者が、職員および受刑者から性暴力を受けたとしてイリノイ州更正・矯正局を訴えているのだそうです。詳しい情報は以下を。
イリノイ州は11月からなんて悠長なことを言ってないで、今すぐ刑務所の全職員に差別防止研修を施すべきでは。