"Let It Go"の作詞・作曲を担当し、『アナと雪の女王2』でも楽曲を手掛けているクリステン・アンダーソン=ロペス(Kristen Anderson-Lopez)が、アナ雪2でもエルサの恋愛相手は登場しないという趣旨の発言をしています。
詳細は以下。
アンダーソン=ロペスがこの発言をしたのは、カリフォルニア州アナハイムで8月下旬に開催されたディズニーの大型ファンイベント「D23 Expo 2019」でのことだそうです。動画はこちら。
アンダーソン=ロペスの言っていることをざっとまとめると、こんな感じでしょうか。
- 第1作同様、エルサは恋の対象によって定義されない
- 女性を恋愛対象によって定義する映画はたくさんあるが、現時点で本作をそういう物語にする予定はない
- 自分たちが本当に語りたいのは、パワーを持つ人間がどのように成長し、変化し、自分の居場所を見つけて、以前には見つからなかった答えを見つけるかということ
個人的には、上記3の要素が、北村紗衣著『お砂糖とスパイスと爆発的な何か—不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門 』(書肆侃侃房)*1のアナ雪評に対するひとつのアンサーになってくれたらうれしいなと思います。アナ雪1はやはり、エルサがドーンと氷の城を作る場面の高揚感と、オチの「スーパーパワーが人様のお役に立ってよかったね、もう氷の城なんていらないよね」というこぢんまり感とがちぐはぐだったと思うんですよ。同じイディナ・メンゼル主演作のミュージカル『Wicked』が、アナ雪とよく似た構造(スーパーパワーを持った善良な主人公が人々の敵として追われる→自由を求めて力を解き放つ場面でパワフルな主題歌が披露される→でも結局、そのとき思い描いたようには生きられず、つらい状況に陥って……という流れがまるきり一緒)を持ちつつも決して「自分を怪物視した人たちの役に立つことでコミュニティに入れてもらいましょう、それこそが幸せ」なんてところには着地していないということを思うと、もうちょっと攻めてもよかったんじゃないかと思います。だから、そのあたりが2で補完されるならぜひ見てみたいです。エルサの恋人は男でも女でも非難ごうごうになるのが目に見えているので、出さなくていいと思うわ。
*1:ものすごく面白い本です。おすすめ。