石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

レストラン従業員がゲイカップル追い出す 法的措置の可能性も 米NYC

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ニューヨーク・シティーのブロンクスの飲食店が、店内で抱擁した既婚ゲイカップルに嫌がらせをして追い出したとして非難を受けています。店主は「不快に思われた方には謝罪する」と言っているのですが……。

詳細は以下。

www.loveyouwedding.com

事件が起こったのは2021年1月15日のこと。場所はブロンクスの、「ラ・イスラ・クチフリト(La Isla Cuchifrito)」というプエルトリコ料理店。ゲイ男性のネルソン・アラヤ(Nelson Ayala)さんは、同店で夫のジャメル・ブラウンJr(Jamel Brown Jr.)さんと愛情表現としての抱擁をしたために追い出されたとして、動画を公開しています。NBCによれば、動画の中には女性の店員がアラヤさんに向かってスペイン語で何度も"hombre, mujer"(男、女)と繰り返すところや、英語とスペイン語をごちゃ混ぜにして“Everything correct my family: hombre, mujer, niño y niña,”(私の家族全部正しい、男、女、男の子、女の子)と言っているところが映っているとのこと。

アラヤさんらはこの店員によって店を追い出された後、警察に通報しています。「ラ・イスラ・クチフリト」の店長、エリザベス・オカシオ(Elizabeth Ocasio)氏は今回の件について以下のように述べているそうです。

「不快に思われた方には謝罪します、どんな風に思った人にも……うちの店がやったことじゃないんです、たったひとりの人、ひとりの従業員がやったことで、もう彼女はここにはいません」

“I apologize to anyone that felt offended, that felt any kind of way … that’s not us, it was only one person, one employee and she’s not here no more.”

これに対するLove You Weddingのツッコミがものすごく正鵠を得ています。

ちょっと注釈をつけておくと、「不快に思われた方には」という言い回しが入っている謝罪はほんものの謝罪ではありません。被害者に責任を負わせるこのような声明は、加害者から責任を取り去って、その責任を被害者に押しつけているのです。これは「あなたがそんな風に思うのは残念です」、「もしあなたの感情を害したのなら謝罪します」などの言い回しの同類です。

On a side note, apologies that include the words “to anyone that felt offended” aren’t really apologies at all. Victim-blaming statements like these take the blame off the perpetrator and place it on the victim. It ranks up there with, “I’m sorry you feel that way,” and “I apologize if your feelings were hurt.”

なおアラヤさんは上記の「謝罪」に納得せず、「従業員教育にもっと力を入れる必要があることを理解してほしい」と主張しているとのこと。ラムダ・リーガルはNBCに対し、ニューヨーク州およびニューヨーク・シティーでは性的指向にもとづく差別は違法なので、このカップルは人権委員会に訴え出ることができるとコメントしているそうです。

プエルトリコって決してLGBTフレンドリーとは言えない(15か月で少なくとも10人のLGBTピープルが殺されて、警察が解明したのは1件だけ)(あと自治政府のリカルド・ロッセロ知事の暴言もひどい)場所だけど、料理と一緒にホモフォビアまで輸出しなくてもいいのにね、しかも米国の中でもとりわけ真っ青な街であるNYCに。店長のわかってなさっぷりからして似たような事件がまた起こる可能性は高そうだし、がっつり訴えられちゃえばいいのに。