石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

22歳ゲイ男性を刺殺 検察は憎悪犯罪とせず エクアドル

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エクアドルの22歳のゲイ男性が、Facebookのメッセンジャーアプリでチャットした19歳の男と自宅で会った後、89か所の刺し傷のある遺体となって発見されました。同国のいくつかの機関は、検察庁がこの事件を憎悪犯罪として扱うよう強く求めています。

詳細は以下。

www.dosmanzanas.com

同国アレニージャス(Arenillas)市の歯科医院に勤めていたゲイ男性のハビエル・ビテリ(Javier Viteri)さんが刺殺されたのは2020年5月28日のこと。この日ハビエルさんは、Facebookメッセンジャーでイルマル・コロソ(Hilmar Corozo)という軍人とチャットをしたり、アパートメントに遊びに来ていた友人3人とビデオゲームをしたりしていました。この軍人が夜10時にハビエルさんを訪問するつもりだと言ったため、ハビエルさんは友人たちに、しばらく家の外に出ていてほしいと言ったんだそうです。

友人たちは、イルマルがハビエルさん宅にやってきた30分後、家の中にあったバックパックを持って走り出てくるのを目撃。泥棒だと思って追いかけたものの逃げられ、アパートメントに戻ってきて、そこで首、腹、背中をめった刺しにされたハビエルさんの遺体を発見したのだそうです。

遺体は下着姿でベッドから数歩のところにあり、犯行現場からは血痕のついた刃物3本、使用済みのコンドーム2個、潤滑剤などが見つかったとのこと。容疑者はまもなく逮捕されました。ところが検察当局は、この事件をヘイトクライムとはとらえていないのだそうです。それどころか担当検察官のシクスト・ミンガ(Sixto Minga)氏は容疑者を加重強盗致死傷罪で起訴したのだそうで、つまりは殺害の意図すら認めなかった模様。

これに対し同国のオンブズマン事務所は、当局(特に検察庁)が事実をヘイトクライムとみなすよう求め、調査担当者が性別や性的指向に関する偏見やステレオタイプを持たずに公平に任務を遂行するよう推奨する声明を発表しています。

会って30分以内に刃物3本使って89か所も刺しまくった犯人に殺意がなかっただなんて、ありえる? 何が何でもマジョリティをかばい、マイノリティの被害を矮小化するというおなじみのマジョリティしぐさではありますが、わたしら同性愛者は死んだ後でさえこうやって命を安く見積もられるのかと思うとはらわたが煮えくり返りそうです。性的指向はエクアドルのヘイトクライム法の対象に含められているはずなんですが、法に基づいて捜査をするはずの人々がそもそも何がヘイトで何が偏見なのかわかっていなければ何の役にも立たないってことですね。同国のオンブズマン事務所は以前軍学校で起こった嫌がらせ・虐待について調査し、同国初の人種によるヘイトクライムの判決に寄与したところなので、こちらの事件に関しても頑張ってほしいです。