石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

ボリビア、同性同士のシビルユニオン認める

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2020年12月18日、ボリビアの男性同士のカップルが、民事登録所(Registro Civil)でカップル(unión)としての登録を果たしました。同国で同性カップルの登録が認められたのはこれが初。ここに至るまで2年間の法廷闘争が必要だったとのこと。

詳細は以下。

elpais.com

このカップル、グイド・モンターニョ(Guido Montaño)さんとダビッド・アルキーパ(David Aruquipa)さんは、交際10年以上のカップル。カップルとしての登録を求めたのは「ロマンティックなふるまいというより、怒りの行為だった」とアルキーパさんは説明しています。以下、アルキーパさんのことば。

わたしがリスクのある手術を受けなければならなかったとき、彼(モンターニョさん)はサインできませんでした。彼のサインには効力がなかったから。(サインするのは)親戚でなければならなかったのです、わたしたちは10年以上一緒に暮らしていたのに。新しくマンションを買うため銀行でローンを組むのには、策をめぐらさなければならず、彼をわたしの健康保険に入れることもできず……わたしたちは言ったんですよ、『もうたくさんだ』と。

Tenía que someterme a una operación de riesgo y él [Guido] no podía firmar porque su firma no tenía valor. Tenía que ser la de un familiar, aunque llevamos viviendo juntos más de 10 años. Teníamos que hacer artificios para sacar un préstamo en el banco para comprar nuestro departamento, no podía incluirlo en mi seguro médico… dijimos: Ya basta.

わかるわかるわかる。よく同性婚や同性パートナー制度について「社会に『愛の証明』をしてもらいたがっている」とか「国の認可を得て『本物の関係』になりたがっている」みたいなイカレポンチな解釈をする人ってのがいますけど、そんな話じゃ全然ないのよ。だいたい日本の殺人事件の2割は夫婦間で起きているってのに、そこで「婚姻=愛の証明」とか何の冗談だよ。自分がブライダル業界の甘言やら紋切型の結婚式スピーチやらを鵜呑みにして生きてこられたおめでたい脳みその持ち主だからって、他の人にまでそれを投影しないでほしいもんだわ。

さて、アルキーパさんらは2018年に民事登録所(Registro Civil)でシビルユニオンの登録をしようとし、同国の法では同性同士の結びつきは考慮されていないという理由で拒否されています。ふたりは、これは「同性同士の家族の絆を認め、保護することは国家の義務である」と述べた米州人権裁判所の助言的意見に反するとして訴えを起こしました。そして2年の法廷闘争を経て、ついに同国の民事登録をつかさどる政府機関のひとつ、Órgano Electoral Plurinacionalが、モンターニョさんとアルキーパさんのユニオンとしての登録を認めるとする裁定を下したのだそうです。

ついに登録を果たし、カップルとして認定された証明書を持ってポーズをとっているふたりの写真はこちら。

El Paísによると、現在ラテンアメリカで性別を問わず結婚できるのは、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビア、エクアドル、ブラジル、コスタリカ、メキシコの一部の州。今回ボリビアで認められたのはあくまでunión civil(英語で言うところのシビルユニオンまたはシビルパートナーシップ)の関係であって同性婚ではないのですが、このカップルの弁護士として訴訟に携わってきたモニカ・バヤ(Mónica Bayá)弁護士は、この件が「憲法裁判所が同性婚を人権として認めるための扉を開くことになる」と話しているとのこと。

ちなみにボリビアは憲法で性的指向やジェンダー・アイデンティティによる差別を禁じている数少ない国のひとつでもあります。世界中でもこの両方が憲法で差別禁止の対象に含められているのはブリテン、ボリビア、エクアドル、フィジー、マルタの五か国だけなんだそうです。足立区はどうだか知りませんが、ラ・パスは今後も滅びたりせずに元気にやっていくでしょうね、たぶん。