メキシコ・ベラクルス州サラゴサで、自治体当局によって閉鎖されたゲイバーの店頭に、近隣住民がホモフォビックなメッセージの垂れ幕を掲げました。首長はこの垂れ幕は自治体とは無関係だと述べ、閉鎖の理由は同店が必要な要件を満たしていなかったからだと説明しています。
詳細は以下。
映像はこちら。
¡Hijas! Clausuran bar #gay en #Veracruz y vecinos ponen manta con mensaje #homofóbico, dicen que quieren mantener su colonia "libre de escándalos y malas practicas como el homosexualismo" 👉 https://t.co/YBnJqQROOy pic.twitter.com/QnTqQgT1rk
— Escándala (@escandalamx) May 19, 2021
このバーの名前は「バー・パライソ」(Bar paraiso)。上記の動画と写真に映っている黄色い垂れ幕の文句をざっと訳すと、こんな感じ。
近隣住民一同サラゴサの住民はベラクルス議会に感謝しています。わたしたちの地区を騒音や、スキャンダルや、同性愛のような不道徳な習慣のない状態に保てるよう助けてくださってありがとうございます。
Vecinos unidos
Los residentes de la Colonia Zaragoza agradecemos al H. Ayunatmiento de Veracruz por ayudarnos a mantener nuestra Colonia libre de ruido, escándalos y malas prácticas como el homosexualismo”.
店のオーナーのフアン・カストロ・バスケス(Juan Castro Vázquez)氏は、このような「時代遅れの」メッセージの標的にされたことを嘆き、ヘイトのメッセージを助長しないよう市民らに呼びかけているとのこと。また地元の性的少数者の有志らは、上記の垂れ幕の横に段ボールで作った即席の看板を設置して、こんな「返事」を書いています。
ホモフォビックな近隣住民様
あなたがたのヘイトのメッセージは、わたしたちを表すものではありません。Vecinos homofóbicos
Sus mensajes de odio no nos representan.
ベラクルスの首長フェルナンド・ジューネス・マルケス(Fernando Yunes Márquez)氏は今回の件について、
- 黄色い垂れ幕は住民が作ったもので自治体とは無関係
- このバーが閉鎖されたのは複数の要件を満たしていなかったからで、LGBTコミュニティに属しているからではない
- 自分はLGBTコミュニティに敬意を払っており、常にかれらの権利のために発言してきた
……と説明しているそうです。3みたいな表現が(たとえタテマエだとしても)政治家から出てくるのって、今の日本から見てると新鮮だわ。「そのへんの住民がヘイト横断幕を掲げちゃうけど、政治はLGBTの権利を肯定」という状態と、「世論調査では65%の人が同性婚を『認めるべき』と答えるけど、与党は『種の保存』を口実に差別に邁進」という状態のどっちがマシだろうかとしばし考えちゃったわ。
ところでこの黄色い垂れ幕の何が嫌かって、わざわざ印刷して四隅にハトメ打つ手間までかけてヘイトスピーチを発信しようとしてるってことだよね。同じメキシコで2019年、メキシコシティでやっぱり印刷してまで作ったヘイト横断幕を高架に掲げた人がいたけど、そこまでする情熱はいったい何なんだ。やっぱり住民も政治も差別に反対している場所に住みたいわ、いや、ないのかもしれませんけどね地球上にそんな場所。