米アニメ『ザ・シンプソンズ』のクリエイターが、リサ・シンプソンがクィアなキャラだという可能性は「ありうる」とインタビューで語りました。リサは物語のタイムラインでは8歳ですが、未来のエピソードで何度か女性パートナーらしき人の存在がほのめかされているキャラです。
詳細は以下。
『ザ・シンプソンズ』は米国で1989年から続いている人気アニメ。中年男性ホーマー・シンプソンとその妻マージ、息子のバート(10歳)、娘のリサ(8歳)とマギー(1歳)を主人公とするシットコムで、ウィットと皮肉が効いた大人向けの作品です。現在シーズン34(2022-2023)まで来ているこのシリーズでは、未来のリサがガールフレンドとおぼしき人(時には複数)と手をつないでいる場面が複数回登場しています。いや、男性と結婚する展開も何度か出てきてるんですけど、それはそれ、これはこれ。
で、同番組のエグゼクティブ・プロデューサーのAl Jeanが、Digital Spyの独占インタビューで、リサのクィアネスの「可能性」についてこんな風に話したんだそうです。
「私が思うに、ええとこれはあくまで私の意見なんですが、リサの人生には絶対あり得ることですね。リサは心が広くて、すべてを愛する人ですから。あり得ますとも」
"In my opinion, and this is just my opinion, that is definitely a possibility for Lisa's life. She is open and, you know, somebody who loves everything. Why not?"
Al Jeanがこういう発言をするのは初めてではなく、2017年には「リサは結局女性と結ばれるかも」、2019年には「リサはポリアモラスかも」と話しているとのこと。
ちなみにこれまでの『ザ・シンプソンズ』のどのエピソードに(未来の)リサのクィアっぽさが出てきたかについては、ElClosetLGBTの記事がくわしいです。せっかくなので映像を以下に貼って説明すると、まずはシーズン23第9話「未来のクリスマス」(原題:"Holidays of Future Passed")の、家族写真の場面。成長したリサが大学に入った後、まずは女性の恋人(?)が1人でき、続いて2人に増えたっぽい描写があります。
続いて、シーズン29第8話『リサの成長の記録』(原題:"Mr Lisa’s Opus”")。大学入学直後、「友達ができた」と喜ぶリサが、次の瞬間相手からウインクされて「……友達以上かも」と言ってます。
なるほど。これは確かにそれっぽいかも。
まったくの偶然なんですが、最近あたし、ディズニー+で配信されてる『ザ・シンプソンズ』(シーズン1からシーズン32まで)の完走めざしてビンジウォッチングしてたところなんですよ。ディズニー+はスペイン語吹替が充実していて、このシリーズもラテンアメリカのスペイン語とヨーロッパのスペイン語の両方で見られる*1ので、勉強のためにまずはラテンアメリカ版吹替(字幕オフ)で全部見ようと思ってて。今ようやくシーズン7まできたところで、したがって上に貼った各場面にはたどりついてもいなかったので、「あのリサが!」とたいへん驚きました。このエントリを書くために急遽ディズニー+で両方の話を見てみた感想は、「どちらもいわゆるLUG (Lesbian until graduation)をネタにした毒のあるギャグとも解釈できるので、これだけでは何とも言い難い」です。ひょっとしたら、Al Jeanの一連の発言はこの毒を薄めてLGBTコミュニティからの批判を防ぐための予防線かもしれないという気さえします。今後、この疑念が吹っ飛ぶような面白い展開が出てくるといいんだけど、どうかなー。
*1:そしてさらに余談なんだけど、スペインの人にもラテンアメリカの人にもこれらの吹替は大人気で、「スペイン語の勉強のためにおすすめ」と言ってる人も多いんです。実際、よくできてて面白いのよ吹替版。