石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

タコス店でホモフォビックな暴力により骨折か メキシコ・メキシコシティ

メキシコシティのレストランでゲイカップルが約10人の集団から暴力をふるわれ、ひとりが足を骨折したとして、加害者発見のための協力を要請する動画が発表されました。

詳細は以下。

escandala.com

動画はこちら。

動画の中では、ひとりに男性がうつぶせに地面に倒れていて、カメラが襲撃者のひとりとされる人物を追っているのが見てとれます。動画内の音声はこんな風。

  • 「足を折られた! 足を折られた!」
  • 「何があったの、ちょっと」
  • 「(加害者の)写真を撮って!」
  • 「(アップになった男性に向かって)お前だ、この野郎。お前だバカ」

Escandalaによると、この事件は2022年11月12日、タコスレストラン「ラ・カサ・デ・パストル」(“La Casa del Pastor”)のマサリク(Masaryk)店で起こったとのこと。上記ツイートの文面を訳すとこんな感じです。

「加害者を特定するため、拡散に至急協力してください。友達がゆうべ、@LaCasadelPastorマサリク店で、ゲイだからという理由でバカどもに10人がかりで殴られて足の骨を折ったんです #StopHomofobia」

Ayúdenme a difundir urgentemente para identificar a los agresores. Anoche en @LaCasadelPastor Masaryk entre 10 weyes le rompieron el pie a golpes a un amigo por ser gay #StopHomofobia

メキシコシティ差別予防・除去委員会(Consejo para Prevenir y Eliminar la Discriminación de la Ciudad de México)は、この事件についての調査を実施すると言っているとのこと。

ひょっとしてつい先日のメキシコ全土同性婚法制化のニュースで「そうかー、メキシコはLGBT+に『理解がある』んだー」と思っちゃった人がいるかもしれませんが、それ、違いますからね。メキシコのトランスフォビアやホモフォビアはまだまだ強いし、それらによる暴力はずっと続いてますからね。ポイントは、それでも日本の政府や自治体とは違って、「『多数派の理解が得られていないから』ダメ」みたいな頓珍漢な寝言によって人権保証がネグレクトされなかったということ。たとえばメキシコシティで同性婚法案に反対する右派政党が他国みたいに住民投票に持ち込もうとしたときには、権利の承認と付与を協議にかけるのは「きわめて非民主的」だという反論がちゃんと議会でなされ、結果として住民投票は実現せず、カリフォルニア州みたいに数の力でひっくり返されずに済んだってことがあったのよ。メキシコにあるのは「(LGBT+ライツについてあまり考えたことのない日本人がふわっと想像するような)理解」というより「人権思想」だとあたしゃ思うよ。