石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

「性的指向による差別は性差別」米連邦裁判所判事が初の判断

Pepperdine Flag
Pepperdine Flag / adam.croom

米国カリフォルニア州の連邦裁判所判事が、2015年12月15日、性的指向による差別を性差別とみなす判断を下しました。

詳細は以下。

Federal Judge Rules That Sexual Orientation Discrimination Is Sex Discrimination - BuzzFeed News

同国ペパーダイン大学(Pepperdine University)の元バスケットボール部員ヘイリー・ヴィデキス(Haley Videckis)さんとラヤナ・ホワイト(Layana White)さんは、ふたりがレズビアンカップルであるとしてライアン・ワイセンバーグ(Ryan Weisenberg)コーチや職員から差別とハラスメントを受けたと主張し、同大学を訴えていました。

訴えによれば、ワイセンバーグ氏は「このチームではレズビアニズムは許されない」とし、チームの敗北はヴィデキスさんたちがレズビアンの関係にあるからだと主張。他の選手にも日常的に性的指向について質問し続けたとのこと。ヴィデキスさんたちは奨学金を停止されるのではないかとおそれ、ホワイトさんはうつ状態に陥って自殺未遂をはかったそうです。

チームにレズビアンがいたら勝てないというのなら、サッカー米女子代表がアビー・ワンバックやメーガン・ラピノーの活躍で何度も世界一になっていることをどう説明するるもりなんでしょうか、このコーチ。なおLAタイムズによれば、ペパーダイン大学はこの訴えに異議を唱え、同大学は「多様で包括的な環境を保持している」と述べているとのことです。

カリフォルニア地方裁判所のディーン・プレガーソン(Dean Pregerson)判事は15日、この訴訟は性差別を禁じた連邦法「タイトル・セブン(公民権法第7編)」と「タイトル・ナイン(教育法第9編)」に関わるものであると判断。その上で、「ジェンダーのステレオタイプ化による差別と、性的指向による差別の間の線引き」について、以下のように示したとのこと。

「裁判所は、両者の区別は非現実的な人工物であり、性的指向による差別は性別やジェンダーによる差別と異なるカテゴリーのものではないと判断する」

“the Court concludes that the distinction is illusory and artificial, and that sexual orientation discrimination is not a category distinct from sex or gender discrimination.”

つまり性別やジェンダーにもとづく差別がダメなんだから性的指向による差別もダメだという話ですな。

同国では2015年7月、雇用機会均等委員会(Equal Employment Opportunity Commission, EEOC)が、性的指向を理由とする差別は公民権法違反であるという判断を示しています。しかし、公民権第7編が性的指向による差別にも適用されるという判断を裁判所が示したのは、今回が初なんだそうです。

これでヴィデキスさんとホワイトさんの勝訴が決まったというわけではなく、裁判はまだ続きます。LGBTQ Nationによれば、ふたりは損害賠償と、ペパーダイン大学の職員が生徒に性的指向を尋ねることを禁じる裁判所命令を求めているとのこと。大学側がどのような反論をしてくるのか、そして最終的にどんな判決が下されるのか、注意して見守りたいと思います。