石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

クィアな絵本『サンタの夫("Santa's Husband")』、2017年10月発売へ

Santa's Husband


米人気TV番組『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』の脚本家、ダニエル・キブルスミス(Daniel Kibblesmith)が、サンタクロースは黒人男性で、白人男性と結婚しているというあらすじの絵本を出すそうです。

詳細は以下。

'Santa's Husband': New Book Gives Old Icon a Queer Twist - NBC News

米国では2016年、ミネソタ州のショッピングセンター「モール・オブ・アメリカ」が初めて黒人サンタクロースを起用したとき、これに反発する人々がニュースサイトのコメント欄を人種差別的な書き込みで荒らしたり、モールのボイコットを呼びかけたりしたという事件がありました。このときキブルスミスはTwitterでこんな冗談を言っています。

訳:「ぼくと@JenAshleyWrightは、将来子供を持ったら、その子たちは黒人のサンタしか知らないようにしようと決意した。子供たちが白人のサンタを見かけたら、『あれはサンタの夫だよ』と言うんだ」。

それが2017年3月になって、こんなことに。

訳:「信じられない、でも正式に決まったよ。『サンタの夫("Santa's Husband")』が、AP Quachのイラストで、2017年のホリデーシーズンにハーパーデザインから出版されるよ」。

キブルスミスによれば、この本は大人向けのジョークをたくさん詰め込んだ、それでいて子供も読める内容のものになる予定だとのこと。イラストでは黒人のおじいさんのサンタが夫と一緒にクリスマスの準備をしたり、ヤドリギの下でキスしたり、ふたりでミルクとクッキーを味わったりしているところなどが描かれるそうです。

そもそも異性愛者で白人でコカ・コーラのように真っ赤なアメリカ式サンタはオリジナルの聖ニコラウスとは別物なのだとキブルスミスは説明しています。サンタのイメージは場所と時代によって異なっていて、今でもまだ変化は続いているのだとも。「ふたりのママやふたりのパパと暮らしている子が、もっと自分の経験を反映したサンタクロースがほしいと思ったとき、この本を読むことができます」というのが、氏の意見です。

そういえば、日本のクリスマスイラストなどではあまり見かけませんが英米のサンタには妻(Mrs. Claus)がいて、サンタと同じような赤いコスチュームを着ているという設定になってるんですよね。しかしサンタそのものが架空の存在(『百科事典マイペディア』によれば、小アジアのミュラの司教聖ニコラウスの祝日が、既存のクリスマス・プレゼントの習慣と結合して米国で生まれたキャラがサンタクロースらしいです)である以上、妻の存在もやはり架空。人々の生活が変わるにつれ、フィクショナルなキャラの描写にも変化が生じて当たり前なので、ゲイのサンタも当然ありなのでは。

そうそう、サンタの多様性ということについては、ミネソタ州の黒人サンタ騒ぎのとき、日系米国人俳優のジョージ・タケイがこんなことを言っていましたっけ。

訳:「モール・オブ・アメリカの黒人サンタのことで、人々がメルトダウンを起こすのを見ているところ。あのね、(自分が第2次世界大戦中に収容されていた)日系アメリカ人の強制収容所では、サンタはアジア系だったよ。そういうわけで、あしからず」。

結局のところ、「善きものはすべてマジョリティが独占していて当たり前だ」という思い込みがなければ「メルトダウン」も起こらないわけですよね。人種に限らず、すべてにおいて言えることなのではないかと思います。

Santa's Husband

Santa's Husband