石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

ジャネット・ウィンターソン

『Why Be Happy When You Could Be Normal?』(Jeanette Winterson, Grove Press)感想

『オレンジだけが果物じゃない』の著者、ジャネット・ウィンターソンの回想録。『オレンジ~』の裏話兼後日譚とでも言うべき内容で、彼女のどの小説にも劣らぬ面白さでした。痛みの中にもユーモアを忘れない文章が、相変わらずみごと。

『さくらんぼの性は』(ジャネット・ウィンターソン[著]/岸本佐知子[訳]、白水社)感想

おもにピューリタン革命時代のロンドンを舞台に描かれる、奇想天外なほら話。史実も寓話も等しく噛み砕き、飲みこみ、再構成していく手腕がみごと。アホな異性愛主義に対する皮肉な視線や、ただの同性愛礼賛におわらないレズビアニズム描写も楽しかったです。

『オレンジだけが果物じゃない』(ジャネット・ウィンターソン[著]/岸本佐知子[訳]、白水社)感想

レズビアンの作家ジャネット・ウィンターソンによる、キュートでほろ苦い半自伝的小説。抑圧的な環境で生き抜く武器として鍛え抜かれたイマジネーションと、独特のユーモアが楽しいです。レズビアン少女の性の目覚めを描く思春期小説としてもおすすめ。

『灯台守の話』(ジャネット・ウィンターソン[著]/岸本佐知子[訳]、白水社)感想

鮮烈にして幻想的な現代寓話。レズビアニズムも出てきますが、「さあここから女同士のエピソードでござい!」と鳴り物入りで始まったりしないところがさすがはジャネット・ウィンターソン。性描写もよかったです。美しくて、真摯で。