石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

2010-01-01から1年間の記事一覧

この百合がすごい! 2010

2010年にレビューした百合/レズビアンもののうち、特におすすめの10作品(順不同)のリストです。 漫画『羣青(上)』(中村珍、小学館) 羣青 上 (IKKI COMIX)作者: 中村珍出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/02/25メディア: コミック購入: 8人 クリック…

『むげんのみなもに(1)』(高崎ゆうき、一迅社)感想

不老不死の少女「カギリ」が、愛する少女「みなも」のために人を殺し続ける物語。頭身低めで目がでかく頭が長いキャラデザイン、メルヘンチックな雰囲気、流血の扱いなどから、ターゲット層はわりあい低年齢なのではないかという印象を受けました。設定の不…

『それでもやっぱり恋をする。』(倉田嘘、一迅社)感想

ネトゲや裏BBS、イラストSNSなどを触媒として深まる絆を描く百合短編集。相変わらず端正な絵柄が魅力的です。結末のハッピーさもここちよく、特に全部の話がつながるエピローグ「intermission」が楽しかったです。ただし、一部の作品でストーリーに詰めの甘…

『ひみつ。』(大朋めがね、芳文社)感想

女子高生や女性教師たちのちょっと切ない女女恋愛を描く短編集。やわらかい雰囲気といい、可愛らしい絵柄といい、好きな人が多そうな作品だとは思うんですよ。でも、あたしには合いませんでした。同性愛に向けるまなざしがところどころオッサン臭いというか…

『共鳴するエコー』(きぎたつみ、芳文社)感想

ある話のサブキャラが次の話の主人公になる、という形で連鎖していく百合物語。学園ものですが、友情百合もあれば大人のガチキャラも出てきます。どのキャラクタにもしっかりとした厚みがあり、手ごたえ充分の面白さでした。描き下ろしの全キャラ未来予想図…

『まんがの作り方(4)』(平尾アウリ、徳間書店)感想

女性漫画家・川口&森下の脱力系百合恋愛を綴るラブコメ第4巻。3巻ほどの大揺れはないものの、川口と森下の、そして森下と武田の間の微妙な齟齬が面白かったです。行動面でも森下が上京して遠距離恋愛になるわ、女性編集者・吉永が森下に迫りまくるわと、凪…

百合アンソロジー『つぼみ VOL.9』(芳文社)感想

先日発売された『この靴しりませんか?』がとてもよかった水谷フーカさんの、「ロンリーウルフ・ロンリーシープ」第2話がすばらしかったです。お話のメリハリのつけ方といい、台詞の練り込みといい、ヒキのうまさといい、絶妙のひとこと。

『HER』(ヤマシタトモコ、祥伝社)感想

1話完結でゆるやかにつながっていく群像劇。百合/レズビアニズムをメインテーマとする作品集ではないのですが、第3話に登場する白髪のレズビアンキャラがすんばらしいんですよ! 巷にはびこる「フツー」圧力の正体をえぐり出していくくだりも強烈。

『渚のハイQ部(2)』(胡せんり、一迅社)感想

離島のビーチバレー部が舞台の百合4コマ、完結編。1巻とはうってかわって恋模様の軸が定まり、時に切なく時にくすぐったい百合ドラマが丁寧に繰り広げられていきます。最初からこれをやってくれればよかったのに!

『バステティシャン』(大島永遠、実業之日本社)感想

バスト専門エステが舞台の、明るくおバカな百合コメディ。カラリとしたギャグと、入魂の乳描写がすばらしかったです。笑いの中に時々胸のすく名台詞が炸裂するところもいいし、レズビアンカップルが当たり前のように出てくる(しかも複数)のも嬉しいところ。

『晴れのちシンデレラ(3)』(宮成楽、竹書房)感想

極貧時代に得た怪力と貧乏魂が抜けないお嬢様・晴(ハル)の活躍を綴るギャグ4コマ、第3巻。例によって百合ネタはややマイルドですが、琴子の「魔道に堕ち」るほどの悶々や女子校バレンタイン風景、晴の王子様っぷりなど、どれも楽しく読みました。

『大奥チャカポン!(2)』(まいたけ、アスキー・メディアワークス)感想

大奥が舞台のドタバタコメディ、最終巻。1巻のあのひっくり返ったおもちゃ箱のような面白さはどこへやら、なんだか失速してしまっています。百合表現もかなり定型的だし、アクションも「バトルのためのバトル」になってしまっているような気が。

『みのりスキャンダル(1)』(速野悠二、秋田書店)感想

学園のアイドル「みのり」が、サディスティックな淫乱幽霊「斎里子」(ゆりこ)に支配されつつ魔物と戦うという退魔コメディ。百合をベースにふたなり・SM・巨乳その他のさまざまな属性を詰め込んだ、にぎやかなエロコメです。

『かなめも(4)』(石見翔子、芳文社)感想

新聞専売所が舞台の百合4コマ。相変わらず、ほのぼのとしたトーンの中に毒やあやうさを仕込む手さばきが秀逸でした。キャラたちのダークな側面はもちろん、検閲ネタや大人の都合で口に出せないネタなども、スパイス多めで楽しかったです。

『さよならフォークロア』(かずまこを、一迅社)感想

「月曜日に触れ合うと、以前心中した恋人たちの呪いがかかる」という伝承がある女子校を舞台とする百合ラブストーリー。「呪い」の内容が曖昧模糊としている上、メインカップルの心の動きも説明的で、感情面のリアリティが薄い感じ。

『GIRL FRIENDS(5)』(森永みるく、双葉社)感想

女子高生同士のキュートな初恋物語、ついに最終巻。すばらしかったです。エロゲ的ご都合主義にも現実逃避のお花畑にも陥らず、ましてや「おかわいそうなマイノリティ」路線にもならず、最後まできめ細かく女子同士の恋を追ってみせた良作だと思います。

『ゴクジョッ。 〜極楽院女子高寮物語〜(3)』(宮崎摩耶、集英社)感想

女子校が舞台のドタバタコメディ、第3巻。これまでにも百合な部分はあったのですが、今回はガチで女性同士のキスや性行為に臨むカップルが複数あり、百合エロ度大幅アップとなっています。キャラでは「その筋ではプロ」な宇都宮さんと、魔王こと尾久先生がイ…

『楽園Le Paradis 第4号』(白泉社)感想

ヘテロあり百合ありの「恋愛系コミック」第4号。「想いの欠片」と「エンディング」におけるレズビアン・アイデンティティのとらえ方の対比が、特に印象的でした。西UKOさんの2作品も、なにげない日常をさっくり切り取る作風がいつも通りすばらしかったです。

「百合少女 Vol.3」(コスミック出版)感想

お金を出して読むには正直つらい作品が多数。百合姫等の二番煎じであまあま中高生ストーリーをやりたいんだろうなというのはわかるんですが、百合姫どころか先日休刊したComicリリィ(プラス)の後をまっすぐ追いかけてやしませんかこの本。

『すこやかパラダイムシフト』(すこやか、一迅社)感想

主従百合、姉妹百合、OL百合など計7編の作品がおさめられた短編集。初単行本だそうですが、どれも掲載作というより投稿作レベルなのでは。と思ったら事実「LIVE WITH MY SISTER」は一迅社コミック大賞投稿作品だったんですが、それ以外の作品も、絵もストー…

『絶対少女アストライア』(東雲水生、一迅社)感想

女子校が舞台の百合漫画。「一流お嬢様校」「こども理事長」「生徒会がどうしたこうした」などのテンプレ設定羅列の後、目新しい方向に向かうかのように見えて、実はテンプレにすらなり得ずに終わってしまうという怪作。

『それが君になる』(袴田めら、一迅社)感想

26歳女性「雨音」と、雨音のかつての恋人にそっくりな女子高生「陽」との不器用なラブストーリー。筋立てこそ起伏少なめですが、反面、細部の演出がすばらしかったです。百合な関係を近視眼的に賛美するのではなく、直喩法を駆使してひと味違った描き方をし…

『ささめきこと(7)』(いけだたかし、メディアファクトリー)感想

唐突な生徒会選挙戦と中傷ビラ、そして「純夏に男がいるという噂を流そう」という展開などには、警戒心を抱かずにはいられません。この気配だと今にも「差別はあって当たり前、それに負けない恋ってスゴイ♥」路線に転びそうで、ハラハラするんですよ。

『蒼穹のカルマ(6)』(橘公司、富士見書房)感想

姪の在紗を溺愛する元騎士・鷹崎駆真(♀)の物語、第6巻。今回はタイムトラベル&パラレルワールドもの。いつも通りの軽妙なタッチや百合百合しさは楽しかったのですが、全体的にいささか小粒な印象が否めないところが残念でした。

小説『ヤングガン・カルナバル グッドバイ、ヤングガン』(深見真、徳間書店)感想

若き殺し屋(ヤングガン)が暴れ回る痛快アクション小説、ついに最終巻。丁寧な伏線回収、それでいて破天荒なバトル、計算されつくした結末と、大満足の1冊でした。レズビアン小説としても、バイオレントなのにロマンティックな青春小説としてもおすすめ。

『はやて×ブレード(13)』(林家志弦、集英社)感想

状況説明が多い分、いつものドツキ漫才風ハイテンションギャグは控えめ。またバトルも数ページのみで、正直ちょっと物足りない印象は否めません。しかしながら、そんな中、pp. 158 - 160での玲と紗枝の会話が飛び抜けてよかったです。

『トランジスタティーセット〜電気街路図〜(3)』(里好、芳文社)感想

笑いと涙で秋葉原という街を描くほんわかコメディ、第3巻。もはやぜんぜん百合じゃなくなってきてますが、面白いです。最もツボだったのは第23話「夏と水着と真空管ラジオ」。メカ好き心をくすぐられ、いいぞいいぞと心の中で快哉を叫びつつ読みました。

『この靴しりませんか?』(水谷フーカ、芳文社)感想

シンデレラや赤ずきんなどの童話を下敷きに、現代のさまざまな百合話を描いた短編集。面白かったです! やわらかくやさしい雰囲気と、それでいてしっかりラブいストーリーがたまりません。

百合アンソロジー『つぼみ VOL.8』(芳文社)感想

今回も斬新な切り口の作品が多く、読み応えじゅうぶんでした。隔月刊化してもまったく衰えないパワーにただ拍手。

『背伸びして情熱』(仙石寛子、芳文社)、感想

計9編の作品が収録された4コマ漫画集。読み切り作「お嫁に行っても」が百合と聞いて買ってみたのですが、何気ないやりとりの中に確かに百合の味わいがあり、面白かったです。