石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

2010-01-01から1年間の記事一覧

『三日月の蜜』(仙石寛子、芳文社)感想

リリカルな4コマ作品集。表題作(全8話)と、読み切りの「一途な恋では」が百合ものです。どちらも可愛く、みずみずしく、それでいてチクチクと胸痛む極上の百合ストーリーでした。

『ジゼル・アラン(1)』(笠井スイ、エンターブレイン)感想

ヨーロッパのとある街で“何でも屋”を開業したお嬢様、ジゼル・アランの物語。百合メインの漫画ではまったくないものの、第3話のレズビアンキャラがいい味出してます。

『失楽園(4)』(尚村透、スクウェア・エニックス)感想

男尊女卑が横行する学園で女の子を救おうと頑張る「騎士」・緋本ソラの物語。百合としても学園アクションとしても、今回は取り立てて見るべきところはないかなあ。

『バーバ・ヤガー(2)』(きづきあきら+サトウナンキ、メディアファクトリー)感想

4年前のキャンプで起きた失踪事件をめぐるダークな愛憎劇、第2巻。今回も死と血とエロスに満ちた陰惨な展開で、たいへん楽しく読みました。百合、というか同性愛要素も、相当痛々しくはありますが面白かったです。

『レンアイ・女子課(1)』(森島明子、一迅社)感想

働く女子同士の恋愛を描く連作集。面白かったです! 収録作の中では、既刊『瑠璃色の夢』登場の蜜姫と香の後日譚がいちばん好きですが、その他のお話もみんなよかった。

『会長と副会長』(袴田めら、一迅社)感想

マイペースな生徒会長と生真面目な副会長の、女のコ同士の恋物語。序盤の微笑ましいやりとりだけでも楽しいのに、中盤以降でエロスと熱を加えて一気に加速していくストーリーがまたたまりません。

『ふたりとふたり』(吉富昭仁、一迅社)感想

女子高生ふたりと大人の女性ふたりが織りなす、性愛ありの百合ラブストーリーです。いや、これは面白いわ。百合だけでなくポリアモリー(複数恋愛)の要素をも取り込み、上品なエロスとそこはかとないユーモアで仕上げた傑作だと思います。

『ミカるんX(6)』(高遠るい、秋田書店)感想

「ミカ」と「るんな」の変身合体バイオレンス百合アクション、第6巻。今回は5巻ラストで時空の彼方に飛ばされたミカたちが繰り広げる「日本と世界の昔話」シリーズとなっております。相変わらずの奔放な想像力と、つきせぬバイオレンスが面白いです。

『すきなひと(1)』(日坂水柯、白泉社)感想

この作家さんらしく、眼鏡と女のコの肢体で満ちあふれる恋愛作品集です。収録作は「すきなひと」(1〜3話)、「ホノカニカヲル」、「からだがはやく」、「まなざしを気にして」(1〜2話)。このうち「ホノカニカヲル」が女性同士のカップルのお話。

『青年のための読書クラブ(2)』(タカハシマコ[画]/桜庭一樹[原作]、ソフトバンククリエイティブ)感想

桜庭一樹さんの小説『青年のための読書クラブ』のコミック版第2巻。「聖女マリアナ失踪事件」全部と、「一番星」の冒頭部分が収録されています。気のせいか、今回はタカハシマコ流の毒があまり感じられないような気が。「エス」な要素も、「一番星」の方にち…

『学園ナイトメア(2)』(方條ゆとり、スクウェア・エニックス)感想

ネット上の都市伝説から生まれた霊・ネットロアを蒐集するクロエと、クロエに協力する鏡(キョウ)の物語。設定やキャラクタの薄さは相変わらずだし、百合描写もどこかピントがずれているしで、漫画としても百合ものとしても中途半端な印象を受けました。

『わたしたちは皆おっぱい(1)』(東風実香、芳文社)感想

おっぱい好きな中学1年生・鎌上貴子を中心とする友情物語。読み始めこそ「単なるヘテロ女子の『女同士はノーカウント☆』系の話かも」と警戒したのですが、その予想はいい意味で裏切られました。「おバカで爽やかで微百合な友情もの」としておすすめです。

『ピュア百合アンソロジー ひらり、Vol.2』(新書館)感想

新書館の百合アンソロの第2巻です。ほぼ全部が10代の学生ものとあって、残念ながらVol.1より一回り小さくまとまってしまっている印象。ただし、それでも「思春期のピュアピュア*1百合」という枠の中では比較的よく健闘している方だと思います。

『此花亭奇譚(2)』(天野咲哉、一迅社)感想

どこか懐かしい和風世界を描いたファンタジー。読んでいると心のコリがゆるゆるとほぐれていくのがわかります。直球で百合ん百合んな物語をお求めの方には向かないかもですが、何か心なごむ漫画でリラックスしたい方にはすごくおすすめ。

『君が僕を(4)〜将来なにになりたい?』(中里十、小学館)感想

君が僕を 4 (ガガガ文庫)作者: 中里十,山田あこ出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/08/18メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 72回この商品を含むブログ (11件) を見るえらく難解な最終巻商売繁盛の神様“恵まれさん”をつとめる女子中学生「真名」と、真名に…

『ときめき☆もののけ女学園(2)』(南国ばなな、一迅社)感想

妖怪×人間の百合ギャグ漫画、完結編。主人公・あられと猫股のキリの愛が深まっていくところはいいんだけど、貝合わせにこだわり過ぎてるところにちょっとがっかり。BLにおける挿入至上主義とよく似た匂いを感じてしまって、もやもやしました。

漫画『花宵道中(3)』(斉木久美子[画]/宮木あや子[原作]、小学館)感想

小説『花宵道中』のコミック版。姉弟の哀しくも美しい運命を追う「青花牡丹」編が絶好調です。女同士の連帯という点では、菊由ねえさんがすごくよかった。原作のエピソードをていねいにすくい上げて、時にコミカルに時に哀切に描き出す筆致もすばらしかった…

『オクターヴ(5)』(秋山はる、講談社)感想

元アイドル「雪乃」と作曲家「節子」の危なっかしい百合ラブストーリー、第5巻。今回もチクチクズキズキくる展開で、非常に心臓に悪かったです。ちなみに、この巻でいちばん印象に残ったのは、雪乃の郷里の友人「鴨ちゃん」のエピソード。

『プリンセス♥プリンセス』(青木光恵、一迅社)感想

描き下ろしも含め計7作品が収録された百合短編集。スケバン百合こと「バンカラ乙女学園」が白眉でした。スケバンとギャルの恋物語なんですが、レトロなイメージへの愛と遊び心がいい感じなんですよ。

百合アンソロジー『つぼみ VOL.7』(芳文社)感想

創刊から1年半、めでたく今号から隔月刊となった百合アンソロです。今回はなんといっても付録小冊子「婦女子的艶麗着色読本」が最高。豪華執筆陣によるカラーイラスト集で、美しいわエロいわ笑えるわとたいへんなことになってます。

『エビスさんとホテイさん』(きづきあきら+サトウナンキ、芳文社)感想

エリートOLエビスさんと、その同僚・ホテイさんの織りなすOL百合ストーリー。可愛くて、なおかつズキズキするお話で、とても面白かったです。いかにも女同士らしい嫉妬心やら嫌がらせやらを正面から描いてみせたところが特に新鮮。

『しまいずむ(1)』(吉富昭仁、芳文社)感想

「遥」と「芳子」の女子中学生ふたりが互いの妹に萌え萌えムラムラする百合ラブコメ。人としてかなりダメな姉たちのヘンタイっぷりと、その陰に秘められた甘酸っぱい恋模様との二重構造がたまりません。少女たちのみずみずしいエロティシズムもよかったです。

『星川銀座四丁目(1)』(玄鉄絢、芳文社)感想

小学生女子「乙女」と女教師「湊(みなと)」の、13歳差のラブストーリー。ほっこりと可愛らしく、かつエロティシズムも忘れない良作です。第1話あたりはまだ手探り感があるのですが、それ以降では俄然お話に脂がのって、どんどん目が離せなくなります。

『死神アリス(1)』(いづみやおとは、一迅社)感想

女子高生「真崎」と殺し屋少女「ひなげし」のガールミーツガール物語。女性に比べ男性キャラの描き方が雑な気もしますが、百合部分は背骨がきっちり通ってますし、全編にみなぎるフトモモ愛もよかったです。

『フィダンツァートのためいき』(田中琳、一迅社)感想

私立女子校を舞台とする百合短編集。残念ながらあたしには合いませんでした。ストーリーが予定調和すぎるところや、キスやセックスの描き方に疑問が残ること、同性愛を「異常」「非生産的」とする価値観が当然視されているところなどが、その原因です。

『ゆきの咲くにわ(2)』(たつねこ、一迅社)感想

雪女の「ゆき」と人間「千尋」の関係を描く百合4コマ。1巻は「基本まったり、時々ゾクリとさせられる微エロ4コマ」でしたが、うってかわってこの2巻はバトルシーン多め。メインカップルは順調に距離を縮めており、ぐっとくる場面も多かったです。

『HONEY CRUSH(2)』(椿あす、一迅社)感想

幽霊・霊感少女・天然美少女の3人が織りなすドタバタ百合ストーリー、最終巻。「新キャラ連発で場つなぎするも間が持たず、強引にカップル成立させて終わり」というなんとも消化不良感だだよう1冊でした。

『ROSE MEETS ROSE』(慎結、一迅社)感想

面白かったです! この本におけるファンタジー設定は、実は痛々しくもいとおしい現実を代弁するメタファーであり、「女の子同士はファンタジーなの☆」みたいなお花畑とは一線を画するところにあると思います。くっきりしたキャラ立てもよかったし、絵柄も見…

『さくら文通』(ヒマワリソウヤ、一迅社)感想

「日輪早夜」名義でBL漫画で活躍されている作者さんの初百合単行本。描き下ろしも含め、計7編のリリカルな短編が収録されています。綺麗な絵柄や時代設定の幅広さはよかったのですが、いかんせんキャラの掘り下げが浅く、説明台詞が多すぎるような気が。

『レズビアン(2) 蜜の部屋』(千之ナイフ、青林堂)感想

『レズビアン 少女愛』の続編。幻想的な設定も、制服や小道具にみられるフェチなテイストも、そして少女たちの美しさやエロティシズムもみな好印象。ストーリーこそ予定調和的ですが、作品全体にみなぎる独特の美的感覚を味わうだけで十二分に元が取れます。